2021年11月11日のことですが、東武鉄道が新たなフラッグシップ車両としてN100系の導入を発表しました。中長期計画で構想検討していたものの、新型コロナの影響もあって中長期計画自体が打ち切りになっていましたが、自然消滅していた新型フラッグシップ車両計画が復活した形になっています。
発表から時間も経っているので、現時点で出ている情報を改めて整理をしつつ、今後の展望を勝手に考察してみます。
N100系の概要
まずは概要から。こちらは、東武鉄道から発表されています(日立製作所も同様の発表)。
車両型式名 | N100系 |
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愛称 | 未 定 |
導入両数 | 24両 |
編成 | 6両固定 |
座席数 | 212席 |
導入路線 | 東武スカイツリーライン・日光線・鬼怒川線 浅草~東武日光、鬼怒川温泉間 |
導入時期 | 2023年(予定) |
製作会社 | 株式会社 日立製作所 |
出典:東武鉄道「2023年に特急スペーシアの新型車両を導入します」より一部改変(余白削除) |
また、日立製作所側の発表では、
日立は鉄道事業者と共に、「A-train」コンセプトと最新の技術を通じて、鉄道利用者に「安全で快適」な鉄道での上質な移動空間を提供していきます。
とあり、明確に「A-trainで製造する」とは書かれていませんが、A-trainで製造されることが予想されます。
車両デザインは、
現スペーシアのフォルムを現代に進化させ、デザインに取り入れました。カラーリングは日光東照宮陽明門・唐門・御本社に塗られた「胡粉(ごふん)」の白を彷彿とさせる高貴な白をイメージし、窓枠は鹿沼に伝わる組子や、竹編み細工といった江戸の手仕事を思わせる丁寧につくられた工芸品のような佇まいで、大切なものを包み込んでいるかのような期待を演出しています。
としています。
東武の観光地として名高い日光東照宮の陽明門・唐門・御本社に塗られた胡粉の白を全体に纏っていることや、窓枠を組子や竹編み細工などの伝統工芸で表現すると言った、東武が今までにも採用した「車両に沿線の特色を出す」ことを、エクステリアで演出しています。
また、100系から引き続いて個室を設ける他、ラウンジやカフェカウンターなども設けるため、東武特急では類を見ないサービスグレードになることが考えられます。
商標出願は現在審査中
2021年11月11日の新型スペーシア発表と同日に、東武鉄道株式会社・東武タワースカイツリー株式会社の両社が、スペーシアに関連する商標出願を行っています(公開日は2021年11月30日)。
出願番号 | 商標 | リンク |
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商標出願2021-140688 | プレミアム スペーシア\PREMIUM SPACIA | 🔗 |
商標出願2021-140689 | スペーシア ルクス\SPACIA LUXE | 🔗 |
商標出願2021-140690 | スペーシア クロス\SPACIA X | 🔗 |
商標出願2021-140691 | スペーシア エックス\SPACIA X | 🔗 |
商標出願2021-140692 | グラン スペーシア\GRAN SPACIA | 🔗 |
全ての商標出願が現在審査中です。東武鉄道では過去にも複数同時に商標出願していたことがあり、言葉を選ばずに言えば、商標ゴロ対策です。
列車愛称・商品・有料座席指定サービス等の名称が考えられますが、どの商標が何に相当するのかは不明です。
N100系の導入にともなう100系の処遇は?
N100系導入に際して、100系の処遇はどうなるのかは、東武鉄道からは公表されていません。
可能性としては、
- N100系と100系の並行運用
- N100系で100系の順次置き換え
の2パターンが考えられます。以降、当サイトの勝手な考察となります。
N100系と100系の並行運用
まず、N100系と100系を並行運用、つまり、スペーシアを残して、上位グレードの特急を新設するパターンです。
100系は登場から30年以上経過していますが、コンパートメントがあることから、依然として根強い人気を誇っています。
プレスリリースにも、
今般、スペーシアが築いてきた伝統や認知度・イメージを維持・継承しながら、より上質なフラッグシップ特急を導入し、同エリアの観光需要喚起を図ります。
とあることから、N100系の位置付けはスペーシアの上位と考えられ、100系の置き換えについては特に言及されていません。
ただし、N100系と100系の並行運用となると、車両が純増になるため、現在の留置スペースのキャパシティ上限や、100系が経年によっていつまで持つのかという課題が残ります。
N100系で100系の順次置き換え
次に、N100系で100系を順次置き換えるパターン。
東武のプレスリリースにもある様に、N100系の導入予定数について、導入初年度(2023年)に4編成24両(1編成6両)となっています。
置き換え前提で導入数と100系の運用中本数(9編成54両)を見比べると、N100系導入初年度では100系9編成のうち4編成しか置き換えることが出来ません。
100系の中でも、106編成・107編成・108編成についてはJR直通対応改造を受けているので、初年度に置き換え対象になる可能性は低いと考えられます。
ただし、N100系が現状のスペーシアより上位グレードで登場し、100系をN100系に置き換えるとなると、現状のスペーシアから実質的な値上げになってしまう可能性があります。
仮に、N100系の一部の車両を上位グレードに設定し、他の座席を現状のスペーシアと同じ値段にするのであれば、置き換えによって付加価値の向上を見込めます。
編集後記
新型スペーシア楽しみね😺✨
関連リンク
日立が東武鉄道の新型特急車両「N100系」の製作会社に決定|日立製作所