阪急で前面展望をしていると、線路にちょいちょい設置されている「A」「S」の標識を見たことがある人は多いと思います。速度制限などの標識は数字が書いてあるので分かりやすいですが、「A」や「S」の標識は、いまいちピンと来ないと思います。
では、この「A」「S」の標識はいったいどんな意味があるのでしょうか?
「A」と「S」の標識
まずはこちらの写真をご覧下さい。
阪急で前面展望をしているとよく見かける「A」の標識。
こちらも同様に、前面展望をしているとよく見かける「S」の標識。駅のホームからでもよく見かけると思います。
少し引いた写真を用意しました。大阪梅田方面の線路の右に「A」と「S」の標識があります。
奥に写っている「S」の標識が見えづらいですが、このように、「A」の標識の先には「S」の標識が必ずあります。
「A」と「S」の標識の意味は?
「A」と「S」の標識はそれぞれ名称があります。
- 「A」の標識…ATS A標識
- 「S」の標識…ATS S標識
また、この「A」と「S」の標識、ただのオブジェではなく、ちゃんと役割があります。
ATS A標識(「A」の標識)
「ATS A標識」は、停止信号の接近点(アプローチポイント)のことです。「A」はApproachの頭文字であるAを指します。
信号機まで155mの地点に設置されており、その先の信号機が停止信号(赤信号)の場合、50km/hの制限が発生します。
停止信号(赤信号)の状態で、「A」の標識に到達するまでに50km/hを超えて走行していると警報音が鳴り、自動的にブレーキがかかります。
尚、「A」標識の先にある信号機が注意信号(黄色信号1)の場合、「A」の標識までは115km/hの制限が、「A」の標識と信号機の間には70km/hの制限が発生します。
ATS S標識(「S」の標識)
「ATS S標識」は、停止信号の停止点(ストップポイント)のことです。「S」はStopの頭文字のSのことです。
信号機まで62mの地点に設置されており、その先の信号機が停止信号の(赤信号)の場合、30km/hの制限が発生します。
停止信号(赤信号)の状態で、「A」から「S」の標識の間で30km/hを超えて走行していると警報音が鳴り、自動的にブレーキがかかります。
また、停止信号(赤信号)の状態で、「S」の標識から信号機の間を20km/h以上で走行すると、警報音がなり、自動的にブレーキがかかり、信号機の手前で停止します。
図にするとこんな感じ
信号現示・「A」「S」標識の位置・速度制限を図にするとこんな感じです(かなり簡略)。
ちなみに、これは平坦な場所の話であって、下り勾配区間では「A」「S」の設置地点がもう少し信号から離れています。
編集後記
「A」「S」の標識を通過する時の速度計見てみたら面白いよ😺
参考資料
『阪急テクノロジー』 阪急電鉄株式会社 コミュニケーション事業部