京成では、3600形までは車両前面の中央に貫通扉が設置されていましたが、3700形以降の形式で、非常用貫通扉が正面向いて左側に設置されています。
前面形状が左右非対称となり、左右対称がお好みの人にとっては如何なものかと感じるかもしれませんが、それなりの理由があって貫通扉が左側に設置され、車両前面が左右非対称のデザインになっています。
3700形の貫通扉
3700形の前面に設けられている非常用貫通扉は、正面向いて左側に設置されています。
3700形より前に製造された、現役の3500形・3600形は、正面の中央に貫通扉が設置されています。
3500形以前の車両も、貫通扉は中央に設置されており、貫通扉の位置が変更されたタイミングは3700形ということが分かります。
何故、3700形から貫通扉が左側に?
では、何故、3700形から貫通扉が左側に設置されたのか。理由は2点あります。
- 単独固定編成の標準化
- 運転台スペースの拡大(操作性と安全性の向上)
それぞれ簡単に紹介します。
単独固定編成の標準化
まず、3700形は都営浅草線・京急線への直通を前提としており、単独固定編成を標準として設計されています。そのため、無理に車両前面の中央に貫通扉を設置する必要がありません。
もし、4両+4両=8両編成の様な先頭車両同士が連結する場合や、他形式と連結した際には、先頭車両の貫通扉を貫通幌で繋げて、車両間の往来を考慮する必要が出てきます。となると、車両前面の中央に貫通扉を設置する必要が出てきます。
京成では、基本的に、4両+4両=8両編成の様な運用は行っておらず、異なる車両形式で連結して運行することもありませんので、車両前面の貫通扉を中央に設置する必要がありません。
運転台スペースの拡大(操作性と安全性の向上)
中央貫通扉のメリットは、貫通幌を設置することで、連結して編成間の往来が可能という点です。ただし、どうしても運転台に大量の機器が密集してしまいます。
3700形では、貫通扉が左側に寄ることで、運転台そのものを横に拡大することが可能となりました。運転台が横にスペースが取れることになり、機器の配置に余裕を持つことができたため、操作性を向上することに繋がります。
また、運転台が大型化したことによって、安全性の向上にも繋げています。タッチパネル式のモニターを装備することが可能となり、運転中でも列車の状態を常に監視することができます。運転台側の窓も広げることができ、広い視界を確保することが出来るため、目視による安全確認の向上にもつながります。
3700形以降の形式も非常用貫通扉が左側に
3700形で非常用貫通扉が正面向いて左側に設置されましたが、3700形以降に製造された、3400形(初代AE形の機器流用)・2代目3000形・2代目3100形も、正面を向いて左側に非常用貫通扉が設置されています。
理由は3700形と同様で、単独固定編成と運転台側スペースの拡大が前提のためです。
3700形とうり二つの3400形。
2代目3000形。3700形以降では非常用貫通扉が最も左に寄ってます。
2代目3100形。3700形・3400形と同じぐらいの位置に非常用貫通扉が設置されています。
3100形の車両前面は窓形状が逆台形、前面の両端は三次元曲面で、絶妙な部分に標識灯を設けており、その形状を考慮して非常用貫通扉が設けられていることが分かります。
編集後記
左右非対称もすき😽