東武N100系(新型スペーシア)が導入されるまでの記録です。
N100系の初出は2021年11月11日のプレスリリースですが、現行のフラッグシップ特急である100系・スペーシアに代わる新型フラッグシップ特急の計画が始まった、「東武グループ中期経営計画2017~2020」から辿り、リリース等の発表次第、適宜更新する予定です。
N100系・新型スペーシア導入の道のり
- 2017.5.12「フラッグシップ特急」の初出東武グループ長期経営構想・東武グループ中期経営計画2017~2020にて、フラッグシップ特急の導入が明記される。この時点では2021年度からの運行開始を予定。
- 2020.5.12「フラッグシップ特急」から「新型観光特急」に変更「東武グループ中期経営計画」の推進で、中期経営計画の施策の一つであったフラッグシップ特急の記述が無くなる。ただし、「特急・着席列車の拡充」の項目で新型観光特急運行開始の記述は残る。
- 2020.7.20中期経営計画そのものが消滅新型コロナウィルス感染拡大の影響に伴い、計画策定当初と情勢が大きく変わったため、「東武グループ中期経営計画2017~2020」の終了が発表される。既に中期経営計画上からフラッグシップ特急の記述が消えているが、計画そのものが消滅した。
- 2020.8.252020年度設備投資計画中期経営計画の終了が発表された1ヶ月後、2020年度の設備投資計画を発表。フラッグシップ特急の記述無し。
- 2021.4.302021年度設備投資計画2021年度の設備投資計画を発表。フラッグシップ特急の記述無し。
- 2021.11.11新型スペーシアの導入発表2023年に100系・スペーシアの後継となるフラッグシップ特急車両の導入を発表。車両型式N100系の初出。日立製作所も製作受注を発表。
- 2021.11.30「スペーシア」の商標出願が公開2021年11月11日に東武鉄道株式会社・東武タワースカイツリー株式会社が、スペーシアに関連する商標を出願。公開日(2021年11月30日)に到達したため公開。
- 2022.4.25インテリアとシートバリエーション公開
- 2022.4.282022年度設備投資計画2022年度の設備投資計画を発表。2023年の導入に向けて、2022年度は車両製作の実施を予定。
- 2022.5.16特設サイト公開東武鉄道公式HPで、新型スペーシア特設サイトが公開。
- 2022.6.1愛称予想キャンペーン実施東武鉄道公式HPで、新型スペーシアの愛称予想キャンペーンを告知。
- 2022.6.232022年度設備投資計画に掲載2022年度の設備投資計画の工事件名に、「新型特急N100系新造工事」が記載。予算額は93億3,300万円。2024年3月完成予定。
- 2022.7.15「スペーシアX」に愛称決定東武鉄道公式HPにて、愛称・運行区間・停車駅・料金が発表。東武公式YouTubeチャンネルで動画公開。新型スペーシア特設サイトのURL変更(https://www.tobu.co.jp/n100/→https://www.tobu.co.jp/spaciax/)
- 2022.11.7製造中の動画公開(前編)
- 2023.2.15運行詳細が決定東武鉄道公式HPで、スペーシアXの運行詳細が公開
- 2023.3.5甲種輸送
- 2023.7.15運行開始予定
2023年3月5日時点まで。
初出
N100系・新型スペーシアの導入が正式に公開されたのは、2021年11月11日です。しかし、東武では、それ以前から新型フラッグシップ特急の導入をほのめかしています。
初出はいつ・どこになるのかというと、2017年5月12日に発表された東武グループ長期経営構想・東武グループ中期経営計画2017~2020です。
中期経営計画2017~2020のPlan3「沿線における事業の深耕による沿線価値の向上(輸送サービスのレベルアップ)」の手段として、2021年頃に「フラッグシップ特急導入」を検討していました。
この時点でフラッグシップ特急についての詳細は明かされていませんでしたが、
- 2021年頃に導入
- フラッグシップ特急である(東武のフラッグシップ特急は100系)
- 100系が、2020年時点で車齢30年に到達する
ということから、100系の置き換えに、新しいフラッグシップ特急の導入を予告しているとも言えました。
計画の消滅
2020年5月15日に発表された「東武グループ中期経営計画」で「フラッグシップ特急導入」の記述が消えています。
2020年の初めから新型コロナウィルスの感染拡大の影響にともない、社会情勢が一変しています。2019年度までは鉄道業界に限らず、多くの業界でインバウンド需要の増加を前提とした計画を策定していましたが、新型コロナウィルスの影響でインバウンド需要は激減していました。
東武も例外ではありませんでしたが、2020年5月時点では、2021年度以降にフラッグシップ特急(新型観光特急)を導入する可能性が残されていました。
ところが、2020年7月30日に発表された「東武グループ中期経営計画2017~2020」の終了で中期経営計画そのものが消滅してしまいます。ここで、フラッグシップ特急の計画も消滅することになりました。
2017年~2020年における中期経営計画の終了の理由としては、
・新型コロナウィルス感染拡大により、計画当初と現在の事業基盤に大きな乖離が生じている。
・中期経営計画の目標とする経営指標の数値については、新型コロナウイルス感染症の影響がなかった場合、概ね達成し、成長戦略投資、株主還元等の目標についても達成。
・上記を勘案し、現中期経営計画は終了とする。
・事業環境の大幅な変容を見極めつつ、事業基盤の確立に向けた新たな中期経営計画を策定。
ということを挙げています。
また、「2020年度における取り組み」として、
- 費用削減、安全対策投資を除く投資計画の見直し
- 既存投資事業の早期収益化
を掲げています。事実、観光需要が激減(ほぼ消滅)していたことから、新型フラッグシップ特急導入の優先度が下げられ、先行投資対象が見送られたことは仕方のないことでした。
新型フラッグシップ特急の復活
中長期計画の終了が発表されて以降、2020年度の設備投資計画(2020年8月25日リリース)、2021年度の設備投資計画(2021年4月30日リリース)で500系・リバティの新造が発表されていますが、新型フラッグシップ特急については一切触れていません。
しかし、2021年11月11日に突如として大きな動きがありました。
「東武グループ中期経営計画2017~2020」で計画するも、計画そのものが消滅してしまい、多くの鉄道ファンの記憶の彼方に忘却されかけていたフラッグシップ特急導入が復活したのです。
まず、東武がフラッグシップ特急車両の導入が発表。その車両型式はN100系となっており、100系・スペーシアの後継車両と位置づけられ、外観のイメージパースも公開されました。
同日に日立製作所も製作受注を発表しており、「A-train」コンセプトで製造されることが明らかになっています。
また、リリース同日に東武鉄道株式会社・東武タワースカイツリー株式会社の両社が、スペーシアに関連する商標出願を行っています(公開日は2021年11月30日)。
インテリア・シートバリエーション発表、車両製造の開始
2022年4月25日、6種類のシートバリエーションと、車内のイメージパースが公開されました。
スペーシアでも人気だったコンパートメント席に加え、先頭車両は前面展望可能なコクピットスイート(浅草方面)とコクピットラウンジ(日光方面)を擁し、座席はプレミアムシート・スタンダードシート・ボックスシートの3種類。
また、2022年4月28日にリリースされた、2022年度の設備投資計画で、2023年の導入に向けて、2022年度中に車両製作の実施が発表されました。
個別事項
N100系の導入までの経緯とは別に、N100系に関する個別事項を取り上げたものです。
列車愛称
2022年6月1日に「みんなで新型特急スペーシアの愛称を予想しよう!キャンペーン」の実施を開始。
愛称候補は以下の通り。
- プレミアムスペーシア
- スペーシアX(エックス)
- グランスペーシア
- スペーシアルクス
2022年7月15日、上記4候補のうち、スペーシアX(エックス)が愛称に決定。
特急スペーシア新型車両(N100系)の愛称名をSPACIA X に決定しました|東武鉄道
商標
出願番号 | 商標 | リンク |
商標出願2021-140688 | プレミアム スペーシア\PREMIUM SPACIA | 🔗 |
商標出願2021-140689 | スペーシア ルクス\SPACIA LUXE | 🔗 |
商標出願2021-140690 | スペーシア クロス\SPACIA X | 🔗 |
商標出願2021-140691 | スペーシア エックス\SPACIA X | 🔗 |
商標出願2021-140692 | グラン スペーシア\GRAN SPACIA | 🔗 |
2021年に東武鉄道株式会社・東武タワースカイツリー株式会社が商標出願(公開日:2021年11月30日)。
座席・シートバリエーション
車両 | バリエーション | 座席数 |
1号車 | コクピットラウンジ | 20席 |
カフェカウンター | – | |
2号車 | プレミアムシート | 35席 |
3号車 | スタンダードシート | 56席 |
4号車 | スタンダードシート | 56席 |
5号車 | スタンダードシート | 18席 |
ボックスシート | 4席 | |
6号車 | コンパートメント | 4名個室×4 |
コックピットスイート | 7名個室 |
導入数(2022年設備投資計画発表時点)
24両(6両固定)×4編成
導入路線(2022年設備投資計画発表時点)
東武スカイツリーライン ・日光線・鬼怒川線(浅草~東武日光駅・鬼怒川温泉駅間)
関連リンク
本文中各所に適宜記載。