阪急9300系の屋根を見てみると、白いカバーの様なものに覆われているのが分かります。この白いカバーの様なもの、京都線の9300系、神戸線・宝塚線の9000系の2形式のみで採用されており、その他の形式では見られません。
ところで、この白いカバーの様なもの、一体何の意味があるのでしょうか?
阪急9300系・9000系の白いカバー
阪急9300系では車両の屋根に白いカバーの様なものが設けられています。実際に9300系の写真を見てみましょう。
写真を見て分かる通り、屋根全体を白いカバーで覆われている様に見えます。写真の赤い部分は屋根カバーで青色の部分が屋根飾りと言われているものです。
屋根カバーは、アンテナを覆うように設けられており、屋根飾りは冷房装置がほぼ見えないように設置されています。
2006年に登場した神宝線仕様の9000系でも、9300系と同様に屋根カバーと屋根飾りが設けられました。
この屋根カバーと屋根飾り、9300系と9000系以外では見られないので、少し特別な感じがします。
屋根カバーと屋根飾りの意味は?
ところで、9300系と9000系で採用された屋根カバーと屋根飾りは何の意味があるのでしょうか?
その理由については、阪急公式のホームページには掲載されていませ…いや、過去に屋根についての記述が掲載されていました。
9300系がデビューして間もない頃の9300系特設ページに、
【外観】
阪急の伝統的なイメージを継承しながら、側窓の連続大型化、屋根上の飾り板などにより、美しさを持った新世代のデザインとなっています。
と記載されています。
屋根カバーと屋根飾りの設置目的については明記されていませんが、屋根飾りが採用された要素の一つとして、デザイン目的ということが考えられます。
とは言え、運行における必要性やメンテナンス上の効果など、実用面については特に言及されていません。
尚、各趣味誌で阪急9300系の解説を見てみると、書きっぷりは多少異なりますが、屋根カバーと屋根飾りについて、
「冷房装置と屋根上の配線が外から見えないようになっている」
と記されています。
ただ、「外から見えないようになっている」という状態であって、目的の説明ではありません。例えば、何かしらの理由で「外から見えないようにしている」という目的の記述であれば納得できます。
(勝手に)もう少し踏み込んで考えてみると、6300系の屋根にアイボリーを採用とほぼ同じ理由で、特急形車両であるというアピールとして、屋根カバーと屋根飾りを採用したのかもしれません(考えすぎかもしれませんが)。
1000系・1300系では採用されず…
さて、9300系と9000系で屋根カバーと屋根飾りが採用されていますが、9300系・9000系の次に登場した1000系・1300系では、屋根カバーと屋根飾りが採用されませんでした。
阪急の公式では明言されていませんが、1000系・1300系で屋根カバーと屋根飾りが採用されなかった理由としては、
- 無くても問題無い
- コストがかかる
ということが考えられます。
屋根カバーはともかく、屋根飾りは「飾り」なので、あっても無くても特に問題無いと考えたのでしょう。
また、9300系・9000系より前に登場した車両には、順次リニューアル工事が実施されていますが、その際に屋根カバーと屋根飾りを設置していないことからも、特に必要が無いものと考えられます。
何か譲れないこだわりがあって、「コストをかけてでも、屋根カバーと屋根飾りを設置しないといけない」…というわけでも無さそうです。
編集後記
屋根カバーと屋根飾り、かっこいいからすき😽
関連リンク
9300系特集|阪急電鉄(2003年11月2日時点のインターネットアーカイブ)
参考文献
『阪急電車』山口益生著 JTBパブリッシング
『鉄道ピクトリアル No.837 2010年8月臨時増刊号 【特集】阪急電鉄』 株式会社電気車研究会
『鉄道ファン 2004年1月号』 交友社