阪急8000系・8200系・8300系の一部車両で採用されたボルスタレス台車。
8000系ファミリーが製造された当時、鉄道各社でボルスタレス台車が採用されていることもあり、ボルスタレス台車に舵を切ると思われましたが、9300系でボルスタ付き台車を再び採用しました。
いったい何故なのでしょうか?
阪急でボルスタレス台車を採用した車両
阪急でボルスタレス台車を採用した車両は以下となります。
形式 | 編成 | 製造年 | 台車 | 備考 |
7000系 | 7005F | 1981年 | SS-102 | 試験採用 編成内の7105・7585のみ 交換時期不明 |
7012F | 1985年 | SS-102A(M車) SS-002A(T車) |
長期試験採用 8両編成の全台車がボルスタレス台車 2008年12月に5200系のボルスタ付き台車と交換 |
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8000系 | 8040F | 1997年 | SS-139A(M車) SS-039A(T車) |
2両編成 |
8041F | 1997年 | 2両編成 | ||
8042F | 1997年 | 2両編成 | ||
8200系 | 8200F | 1995年 | SS-139A(M車) SS-039A(T車) |
2両編成 |
8201F | 1995年 | SS-139A(M車) SS-039A(T車) |
2両編成 | |
8300系 | 8332F | 1994年 | SS-139(M車) SS-039(T車) |
初の本格採用 2両編成、8313Fと8両編成組成 |
8333F | 1994年 | 2両編成、8314Fと8両編成組成 | ||
8313F | 1994年 | 初の本格採用 6両編成、8332Fと8両編成組成 |
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8314F | 1994年 | 6両編成、8333Fと8両編成組成 | ||
8304F | 1995年 | SS-139A(M車) SS-039A(T車) |
8両編成→6両編成 (8904・8984を8315Fに転出) |
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8315F | 1995年 | SS-139A(M車) SS-039A(T車) |
6両編成→8両編成 (8904・8984を8304Fから編入) |
阪急で初めてボルスタレス台車を採用したのは、1981年に製造された7005F内の7105と7585です。登場時は8両編成で、神戸・宝塚方の2両だけがボルスタレス台車でした。
次にボルスタレス台車を採用したのが1985年に製造された7012Fで、こちらは8両全てにボルスタレス台車を採用しています。
ただし、7005Fと7012Fは試験採用であり、両編成ともボルスタレス台車は外されています。7005F内の7105と7585にあったボルスタレス台車の交換時期不明ですが、7012Fは長期試験の終了に伴い、2008年12月に台車交換を実施。廃車となった5200系から発生したボルスタ付き台車を装着しています。
ボルスタレス台車を本格採用したのが、8300系8332F・8313Fです。以降、8300系では6編成がボルスタレス台車を採用しました。次いで、8200系・8000系の順に、ボルスタレス台車を導入しています。
何故、ボルスタレス台車をやめた?
8000系・8200系・8300系の一部ではボルスタレス台車を採用していましたが、次に製造された9300系ではボルスタ付き台車に戻っています。以降、9000系・1000系・1300系でもボルスタ付き台車を採用しています。
ボルスタレス台車の導入と、9300系以降の車両でボルスタ付き台車に戻したことに関して、阪急が公式に発表していないので推測となりますが、乗り心地の観点で採用を見送ったと考えられます。
ボルスタレス台車は部品点数が少なく、軽量であるため、保守・整備の観点および経済的観点(というか費用)ではメリットがありますが、乗り心地や曲線区間の安全性ではボルスタ付き台車の方が優位です。
仮に、ボルスタレス台車に安全上の問題があるのであれば、今すぐにでも現役車両のボルスタレス台車を撤去する必要があります。ですが、阪急においては、先述した通り、8000系・8200系・8300系の一部でボルスタレス台車を使い続けています。
状況証拠を取り上げることになりますが、8000系・8200系・8300系でボルスタレス台車を装備している車両が、現在も走っていることや、ボルスタレス台車だけが特定区間で速度制限を設けているということもありません。そのため、ボルスタレス台車を使っても、安全性では問題無いという阪急の判断が伺えます。
「安全面では大丈夫だから、乗り心地については多めに見てくれ」と言うことでしょうか。
編集後記
曲線がきつい千里線でボルスタレス台車が走ってるけど、乗り心地はあんまり気にならないよ😺
参考文献
『鉄道ピクトリアル No.837 2010年8月臨時増刊号 【特集】阪急電鉄』 株式会社電気車研究会
『阪急電車』 JTBパブリッシング
『阪急テクノロジー』 阪急電鉄株式会社 コミュニケーション事業部