京浜急行電鉄が2021年12月24日にリリースで「空港連絡特殊割引」の割引額を見直すと発表しています。
2019年に空港線加算運賃を120円引き下げていますが、新型コロナの影響で割引縮小額が10円マイナス(運賃10円値上げ)を決定しました。
空港連絡特殊割引の見直し
2021年12月24日のリリースで、京成線・都営浅草線と直通して羽田空港第1・第2ターミナル駅および羽田空港第3ターミナル駅を利用する場合の「空港連絡特殊割引」の割引額を縮小することを発表しています。
京浜急行電鉄株式会社は、京成線および 都営地下鉄線方面から羽田空港第1・第2ターミナル駅または羽田空港第3ターミナル駅(以下羽田空港駅)相互間を普通旅客運賃でご利用するお客様に適用している「空港連絡特殊割引」の割引額を見直しいたします。
当社は、 現在新型コロナウイルス感染症の影響によりお客様数が大きく減少し、厳しい経営環境に置かれております。また、2019年10月には普通旅客運賃における空港線加算運賃を120円引き下げ、羽田空港駅ご利用の際の運賃の値下げを実施いたしました。これらの状況を勘案し、今回の割引額見直しを実施させていただきます。何卒ご理解賜りますようお願い申しあげます。
言い回しが独特ですが、京成線・都営浅草線方面~羽田空港間の運賃が10円値上げになったということです。
適用区間(いずれも相互間) | 割引額 | ||
現行 | 見直し後 | 値上げ額 | |
都営浅草線内各駅 ~羽田空港第1・第2ターミナル駅、羽田空港第3ターミナル駅 |
大人60円 小児30円 |
大人50円 小児20円 |
10円 |
京成線内各駅 ~羽田空港第1・第2ターミナル駅、羽田空港第3ターミナル駅 |
大人60円 小児30円 |
大人50円 小児20円 |
|
成田空港駅・空港第2ビル駅 ~羽田空港第1・第2ターミナル駅、羽田空港第3ターミナル駅 |
大人90円 小児50円 |
大人80円 小児40円 |
切符・IC問わず一律で10円の値上げとなります。定期券は対象外。実施日は2022年3月12日からの予定。
ちなみに、しれっと企画乗車券「羽田みらいきっぷ」が2022年3月11日で終了するようです。
加算運賃
今回のプレスリリースで書かれている加算運賃。「空港連絡特殊割引」から話が逸れますが、少しだけ仕組みを説明します。
加算運賃は、京急空港線における、輸送力増強工事や設備投資にかかったお金を回収するために、天空橋~羽田空港国内線ターミナル駅から他路線をまたがった場合に発生する運賃です。
2019年10月1日の消費税10%引き上げに際して、天空橋~羽田空港国内線ターミナル駅間と他の区間をまたがって乗車する際の加算運賃を引き下げました。それまで170円だった加算運賃を120円引き下げて50円に改定しています。
加算運賃が引き下げられる前後の普通旅客運賃と加算運賃を比べてみましょう。
シミュレーション区間 適用キロ程:11~15 |
営業キロ | 2019年9月30日まで | 2019年10月1日以降 | ||
普通旅客運賃 | 加算運賃 | 普通旅客運賃 | 加算運賃 | ||
品川~羽田空港第1・第2ターミナル駅 | 14.5 | 240円 | 170円 | 250円 | 50円 |
品川~鶴見市場 | 13.8 | 240円 | – | 250円 | – |
例えば、品川から羽田空港第1・第2ターミナル駅に乗車する場合、営業キロは14.5kmです。京急本線内では鶴見市場が営業キロ13.8kmなので、営業キロ11~15内に入るため、普通旅客運賃は同じです。しかし、京急本線から空港線に入った場合、普通旅客運賃とは別途、加算運賃が発生します。
消費税が上がるタイミングで空港線の加算運賃を引き下げるという京急の戦略は良かったのですが、絶妙なタイミングで新型コロナが発生してしまっています。その結果、空港需要は激減し、ドル箱だった空港線は一気に転落しました。
関連リンク
「空港連絡特殊割引」の割引額の見直し(割引縮小)に関するお知らせ|京浜急行電鉄
加算運賃の引下げ実施について|京浜急行電鉄(2019年9月10日リリース)
鉄道運賃改定の認可申請について|京浜急行電鉄(2019年7月2日リリース)