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【阪急】有料座席指定サービス導入の課題

2021年2月17日に、阪急が有料座席指定サービスを検討しているという報道。2020年度の決算報告で検討するという旨が記載されており、2021年度の中間決算でも検討していることが記載されています。

未だ検討状態ですが、阪急が初めて有料座席指定サービスを導入するにあたって、いくつか課題があるため、時間をかけて内部検討していることでしょう。内部事情は定かではありませんが、外側からでもいくつか課題を見つけることは出来ます。




有料座席指定サービス導入の課題

阪急が有料座席指定サービスを導入するにあたって、考えられる課題は大きく3つあります。

  • 設備
  • 車両
  • 料金

それぞれ考察していきます。

設備面

設備については、現時点で分かっているのが、朝日新聞デジタルでの阪急広報のコメント。

通勤中に仕事ができるよう、コンセントや通信環境も整備する見通し。現行の特急は運賃だけで乗れるため、「有料化は同社では初めて」(広報)

阪急電鉄、初の有料特急を検討 リモートワーク対応も|朝日新聞デジタルより

検討段階なので何とも言えませんが、コンセントや通信環境(つまりWi-Fi)を整備するようです。

ただし、これは画期的なことではなく、競合するJR西日本のAシートと京阪のプレミアムカーではコンセントもWi-Fiを提供しています。そのため、阪急の有料座席指定サービスを作るにあたって、コンセントとWi-Fiは最低条件の設備となります。


車両

鉄道趣味的に一番気になるのは車両です。

有料座席指定サービス用に新形式を新造するのか、既存車両を改造するのかは明確になっていませんので、当サイトの勝手な見解とします。

「通勤中に仕事ができるよう」ということから考えると、編成中の一部を専用車両にする可能性が高いです。1編成をまるっと専用車両にした場合の空席リスクを考えると、製造(もしくは改造)コストに対しての回収のハードルが上がります。

なので、編成中の一部を専用車両にするという前提で考えると、有料座席指定サービス用の車両は、推測ですが以下のパターンが考えられます。

対象対応コストメリットデメリット
7300系
(2両編成)
車両改造
(8両編成に増結)
工事期間と費用を抑えられる
・改造中の運用離脱
・先頭車両なので座席数が少なくなる
9300系車両改造
(編成中に埋め込み)
工事期間と費用を抑えられる・編成内で車両差が出る
・改造中の運用離脱
専用車両新造
(編成中に埋め込み)
車両の入換が短期間で済む・編成内で車両差が出る
・廃車扱い車両の処分コスト
新形式一部車両を専用激高既存車両と差別化する前提で設計・製造が可能・編成内で車両差が出る
・一番コストが高い

有料座席指定サービスがラッシュ時限定という前提のため、7300系2両編成を専用車両にした場合、日中運用で編成内の車両差を気にしなくていいというのが大きなメリットです。

ただし、2両編成でどちらも先頭車両のため運転席が存在します。つまり、座席数が中間車両と比べて少なくなるのは避けて通れません。片方の運転席を撤去してしまうと、自力回送できなくなりますので…。

一番懸念なのは、9300系の一部車両を手っ取り早く改造するパターンです。

9300系は既にWi-Fiが提供されているので、「コンセントだけ設置しておしまい。クロスシートだから座席はそのまま。」となってしまう可能性があります。もちろん、それが一番安上がりですが、座席グレードが同じなのに、コンセントの有無と着席保証だけで追加料金を払うのかは疑問が残ります。

料金設定

有料座席指定サービスにおいて、利用を左右するのが料金設定です。特に初めて利用する場合、お金を払って得られるサービスが妥当、もしくは想像以上であるかというポイントに直結します。

阪急京都線の競合路線を見てみると、JR西日本のAシートは500円、京阪のプレミアムカーも400円~500円に設定されています。

目安として、競合しているJR西日本と京阪の料金設定を考慮すると、上限500円が妥当なところです。もし、500円を超えるとなると、料金面で優位な立場を取れず、利用してもらえない可能性が高くなるどころか、長期的なブランディング面で大きく不利になってしまいます。


需要はあるのか?

さて、阪急がどんなに素晴らしい車両を作っても、需要が無ければ無用の長物です。

朝日新聞デジタルで阪急広報は、「通勤中に仕事ができるよう」とコメントしています。しかし、ラッシュ時における阪急京都線の大阪梅田~京都河原町は通勤特急・快速急行で約50分です。

50分で何の仕事が出来るのかというのは、職種によって異なりますが、出来るとしてもメールチェックくらいになります。

ちなみに、システムエンジニアの立場で話をすると、社外で出来る仕事がありません(会社にもよりますが)。
セキュリティの観点から、社外で開発環境に接続した場合、インシデント扱いになる場合もあるため、絶対に開発なんて出来ませんし、特定のネットワークから接続できない様になっています。
また、システム会社では情報漏洩の懸念から、テレワーク用PCは限定的な空間での利用が義務付けられることが多く、自宅以外で利用する場合は、利用場所を明確に申請して承認してもらう必要があります。

有料座席指定サービスの空間で仕事が出来るかどうかを考えず、シンプルに、「通勤で座りたい」というサラリーマンの意識を考えれば、有料座席指定サービスの需要はあるかもしれません。

もし、通勤時に仕事をしてもらうために利用してもらいたいのであれば、Wi-Fi が利用出来る9300系で試験運用を実施し、約50分で何が出来るのかを確認してみる必要があります。


利用者が受け入れるかも焦点に

また、有料座席指定サービスを開始して、阪急の利用者が受け入れるのかという潜在的な懸念が残ります。

庄内事件の一件から、「お客様に優劣をつけない」というスタンスを崩さずに来た阪急。その結果、6300系導入の時や、京とれいん導入の時も、一貫して有料にしなかったというエピソードが残っています。

確かに、「お客様に優劣をつけない」というのは阪急独特の美学ですが、他社が有料座席指定サービスで一定の成果を出しているという事例とチャンスがあるのに、阪急ではその美学が呪縛になっているという状態です。

その美学と呪縛によって、初の有料座席指定サービスが利用者に受け入れられない可能性もあります。もちろん、阪急側としても、事前調査やプロモーションをバッチリするはずですが、こればっかりは、一歩踏み出してみないと分かりません。

編集後記

ねこ的には楽しみ😺✨ワクワク

関連リンク

阪急電鉄、初の有料特急を検討 リモートワーク対応も|朝日新聞デジタル

阪急阪神ホールディングスグループ2020年度(2021年3月期)決算説明会資料|阪急阪神ホールディングス株式会社

2020 年度(2021 年 3 月期) 決算説明会における質疑応答|阪急阪神ホールディングス株式会社

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