大運転とは、南海電気鉄道の南海高野線における、難波から高野山方面に直通運転する列車のこと。時代によって大運転の運行範囲は異なるが、現在は難波から極楽橋の直通運転のことを指す。
大運転とは?
大運転とは、南海電気鉄道の南海高野線において、難波駅から高野山方面に直通運転する列車のことです。
時代によっては大運転と呼ばれる区間は変わりますが、2022年時点の大運転は、難波から極楽橋に直通する列車と言って差し支えありません。
大運転は、1923年に、当時の南海鉄道高野線で汐見橋駅~橋本駅を40分毎に運行されたのが始まりです。
その後、高野線は高野下まで延伸し、高野下以南を高野山電気鉄道が延伸。汐見橋発着だった高野山方面の列車は難波発着に変更され、高野山方面の終着駅も最終的には極楽橋になりました。
大運転の対象となる列車(難波~極楽橋の直通運転)はダイヤ改正により徐々に減少し、特急「こうや」や一部の快速急行・急行に限られています。
中運転・小運転もある
大運転があれば、中運転・小運転もあります。『南海鉄道発達史』によると、1922年に南海鉄道と大阪高野鉄道が合併した翌年、1923年に「大運転」「中運転」「小運転」を取り決めています。
分類 | 運転区間 |
大運転 | 汐見橋~橋本 |
中運転 | 汐見橋~三日市町 |
小運転 | 汐見橋~堺東 |
大→中→小の順に各列車を運転することで、運転順序が秩序正しくなり、従業員・乗客ともに便利になったそうです。
大運転の定義
南海公式で大運転を定義しているわけではありませんが、勝手に大運転を定義すると、次の様になります。
- 終点駅まで直通運転
- 山岳地帯の様な難所を通る
- 専用車両で運行される
南海の場合、難波から終点の極楽橋まで直通しています。また、橋本から南は山岳地帯であり、特に高野下から極楽橋は半径100m以下の急カーブが最大50‰の勾配が存在することから制限速度33km/hとなっているほどの難所で、山岳区間とも言われています。
この様な条件下で難波~極楽橋において直通運転を実施するために、南海ではズームカーなどの大運転用の車両を製造した実績があります。
大運転対応の車両(ズームカー)
南海高野線を走行する全ての車両が大運転可能というわけではありません。南海本線や南海高野線橋本駅まで走行する車両は21m級の4ドア通勤車両ですが、南海高野線の山岳区間で走行可能な条件を満たす必要があります。
- 車体長が17m級の車両
- 2ドア車両
- パワフル性能(高ギヤ比)
これらの条件を満たした車両は「ズームカー」と呼ばれています。特急版ズームカーのため「デラックスズームカー」と呼ばれていたら20000系や、「丸ズーム」と呼ばれていた21000系などが有名です。
現在も特急「こうや」として運行されている30000系や、2ドア通勤車の2000系が山岳区間の条件を満たしており、大運転の運用に就いています。
参考文献
『南海電気鉄道百年史』 南海電気鉄道株式会社
『南海鉄道発達史』 南海鉄道株式会社
『南海電車』 JTBパブリッシング