京成本社のある京成八幡駅。シンプルな島式1面2線のホームは、どこの鉄道会社でも見られる構造です。
一見すると、どこにでもある駅に思えますが、京成八幡駅は京成本線を走る、モーニング・ライナーとイブニング・ライナー以外の全ての種別が停車します。
いったい何故なのでしょうか?
優等種別が停まる京成八幡駅
京成本線に特急が登場した当初から、京成八幡駅は特急停車駅です。
ダイヤ改正や種別の増減がありましたが、現在の様に有料特急であるモーニング・ライナーとイブニング・ライナー以外、全ての種別が停車します。
島式の2面4線ホームであれば、優等種別が停車して、各駅停車と連絡する…というのであればわからなくもないです。しかし、1面2線にもかかわらず、京成八幡駅には快速特急や通勤特急といった上位種別も必ず停車します。
京成八幡駅付近に広大な車両基地があるという訳でもなく、留置線があるわけでもありません。
なぜ、優等種別が停車する?
さて、京成八幡駅に優等種別が停車する理由ですが、別に難しいことではありません。利便性によるものです。ポイントは二つ。
- 京成百貨店の存在
- 都営新宿線・JR総武線への乗り換え
京成百貨店の存在
まず、1963年に京成初の百貨店である京成百貨店(市川京成百貨店)が京成八幡駅に隣接していたことも要因になります。
1968年に特急種別を新設した際に、京成百貨店のある京成八幡駅を停車駅に含めたことから、京成百貨店の利用客に対する利便性を考慮したことが伺えます。
都営新宿線・JR総武線への乗り換え
乗り換えに関しても優等種別が停車する要因の一つです。むしろ、2010年に京成百貨店が閉店してからは、都営浅草線・JR総武線への乗り換えの方が要因として大きいです。
現状の京成八幡駅と都営新宿線・本八幡駅は隣接していて、JR総武線・本八幡駅にも歩いて5~10分で行ける距離です。
特に都営新宿線・本八幡は終点駅ということもあり、都営新宿線を介した東京都心と京成本線の輸送で大きな役割を果たしています。
むしろ、優等種別が停まらないと、都営新宿線の利用客にとって不便極まりないと言っても過言ではありません。また、京成本線と都営新宿線では定期券で運輸連絡を行っていることから、通勤・通学における京成八幡駅の重要性も分かります。
謎の忖度話
ちょっと小耳に挟んだ謎の忖度話もついでに紹介します。地元住民から聞いた噂のため、信憑性は皆無です。話半分で受け取って下さい。
京成本社があるから京成八幡駅に優等種別が停まる?
「京成本社があるから京成八幡駅に優等種別が停まるのではないか?」という、なかなか興味深い話を聞いたことがあります。しかし、これはあり得ません。
そもそも、京成本社が京成八幡駅に隣接するビルに移転したのは2013年です。それ以前から京成八幡駅に優等種別が停車しています。そのため、京成本社が京成八幡にあることと、優等種別が京成八幡停車するのは、別の話となります。
確かに、現在は優等種別が停車する京成八幡駅に京成本社が立地していますが、優等種別が停車する京成八幡駅に移転したのは結果論です。
地元有力者が幅を利かせた?
京成沿線の市川市、特に市川真間から京成八幡あたりの有力者が幅を利かせて、京成八幡駅に優等種別を停車するように忖度させたという説ですが、信憑性に欠けます。京成社史にもその類の記述はありません(仮に有力者に忖度したところで、そんなこと書くとは思いませんが)。
先述した通り、過去の京成百貨店の存在と、都営新宿線・JR総武線への乗り換えを考慮した結果です。
編集後記
優等種別を停車させるなら2面4線にした方が良いけど、住宅密集してるから難しそうね😺💧
参考文献
『京成電鉄五十五年史』 京成電鉄社史編纂委員会編
『京成電鉄85年の歩み』 京成電鉄株式会社総務部編