在来線日本最速の160km/hを誇る、京成の2代目AE形・スカイライナー。スピードだけでなく、その外観からも「実質、新幹線」や「もう新幹線でいいよ」とまで言われています。
さて、そんなスカイライナーですが、実は10両編成化を想定していました。しかも、2代目AE形ではなく、初代AE形からです。
グッドデザイン賞時の匂わせ
実はスカイライナー、10両編成化の計画がされていた…なんてことを言うと、
みたいな熱い激励を頂きそうですが、スカイライナーの10両編成化の話は京成が公式で言っちゃってます。
いつ、京成が言っちゃったのかと言うと、2010年のグッドデザイン賞受賞時の、京成公式リリースです。
新型スカイライナー(AE形)が 「グッドデザイン賞」を受賞しました!(京成公式PDF)
京成公式のリリースには、グッドデザイン賞の受賞理由や、デザインの解説が記されていますが、車両仕様の項で10両編成化をほのめかしています。
(4)仕様
形 式:AE形
編 成:8両(6M2T)
※将来の10両編成化を想定
定 員:398名(8両時)―新型スカイライナー(AE形)が 「グッドデザイン賞」を受賞しました!(京成公式PDF) 3ページ目より引用抜粋
何故、こんなところにコッソリ書いてるのかは不明ですが…
将来的に10両編成するかもよ(ただし、いつするとは言っていない)ということは書かれていますが、現時点では選択肢の一つの状態です。
10両編成化の話は初代AE形から存在
スカイライナーの10両編成化の話、2代目AE形からパッと出て来たわけではなく、初代AE形の時から構想しています。
初代AE形は6両編成ですが、将来的な10両編成化を構想していました。それは初代AE形の車番からも読み取れます。
Tc (1両目) |
M1 (2両目) |
M2 (3両目) |
M1 (4両目) |
M2 (5両目) |
Tc (6両目) |
AE1 | AE2 | AE3 | AE8 | AE9 | AE10 |
AE11 | AE12 | AE13 | AE18 | AE19 | AE20 |
AE21 | AE22 | AE23 | AE28 | AE29 | AE30 |
AE31 | AE32 | AE33 | AE38 | AE39 | AE40 |
AE41 | AE42 | AE43 | AE48 | AE49 | AE50 |
AE51 | AE52 | AE53 | AE58 | AE59 | AE60 |
AE61 | AE62 | AE63 | AE68 | AE69 | AE70 |
上の表は初代AE形登場時の構成です。便宜上、一番左を1両目としました。
3両目までは通番になっていますが、4両目は末尾8番、最後尾の6両目は末尾0で採番しています。
後から中間に4号車~7号車を増設しても問題無い様に、あらかじめ10両編成を想定した車番を振っていたのです。
ただし、これは実現しませんでした。
成田空港開業のゴタゴタで、1972年にデビューしたにもかかわらず、成田空港まで到達したのは1978年です。しかも行き先が、現在の東成田駅という残念な立地でしたので、他の交通手段と比べて利用者が少ない状態。
そんな状況で「10両編成にします!」なんて言っても、
ということになります。10両編成化している場合ではありません。
1991年の成田空港駅開業に合わせて、初代AE形は2編成をバラして、5編成を8両編成化しています。
後継のAE100形も8両編成で製造されましたが、10両編成の実現に至っていません。
10両編成対応の準備は出来ている(一部)
とは言え、実は10両編成化の準備が出来ています。一部だけですが。
現状、京成の車両は8両編成が最大です。優等種別の停車駅は必ず8両編成が停まれるホーム有効長になっています…が、実は少しだけ8両以上の列車が停まれる駅が存在します。
まあ、ネタバレすると、現在、スカイライナーが停車出来る駅は、10両分のホーム有効長があります。実際に見てみましょう。
京成上野駅のホームです。
日暮里寄りのホームには少しだけホームに余裕があります。もう少し歩いて行くとこんな感じ。
関係者以外立ち入り禁止のゾーンですが、少しだけホームが伸びています。とは言え1両分くらいの余裕しかありません。
車止めがある逆側のホーム端も、約1両分くらいの余裕があります。
合計2両分、ホーム全長で10両分の有効長があることがわかります。
日暮里駅のホームも、10両分の有効長があります。2番線ホームの京成上野寄りには、こんなスペースがあります。
0番線ホームも、京成上野寄りと、新三河島寄りにスペースがあります。
京成上野寄りは足りない様に見えますが…
新三河島寄りは割とスペースがありますので、ホームの前後足して2両分くらいは余裕がある様に見えます。
他にも、京成船橋駅や京成成田駅等、モーニングライナー・イブニングライナーが停車する駅は、10両が停車出来るスペースがあります。
また、東松戸駅など、北総線の一部駅でもホーム有効長は10両編成分あるので、成田スカイアクセス線経由のスカイライナーも10両編成が可能です。
ちなみに、青砥はこんな感じに待合室が鎮座しています。
尚、スカイライナーが停車する時は、こんな感じに停まっています。
一般車両の8両停止位置から撮影したものです。なんかギリギリそうに見えますが、スカイライナーが青砥に停車する時は、先頭6両停止位置に停止するので、理論上は10両の停車が可能です。
色々と写真をお見せしましたが、スカイライナーが10両化になっても、現在の停車駅では10両対応が可能ということが分かります。
ただ、ホームドアが設置されている日暮里駅は、ホームドアの拡張・再設置が発生しますし、立ち入り禁止区域になっている京成上野駅の整備も必要になります。それだけでもお金がかかりますね…。
10両編成化への課題
ホーム有効長が十分であれば10両編成化すれば良いじゃない!と考えるかもしれませんが、そうは問屋が卸しません。事実、スカイライナーの10両編成化に至っていないのが現実です。
ホーム有効長以外にも問題はたくさんあります。
ATSを整備する必要がありますし、信号機や列車標識も見直しが必要です。それも全線です。車両基地の留置スペースの問題もあります。そもそも、そんなお金があるのかどうか、10両編成化に伴う設備投資を実施してペイ出来るのかという経営面のお話もつきまといます。
また、現状、回送で通過退避している運用や、回送停車している運用も変える必要があるので、こうなると、スカイライナーだけでなく、ダイヤ全体の大幅見直しが必要になります。もちろん、影響範囲は京成線内だけではとどまらないので、直通先の都営浅草線と京急にも話が及びます。
編集後記
スカイライナーが10両編成化になると、鉄道趣味的には夢とロマンがある話です。
ただ、2019年にAE形が1編成増備していることから考えると、10両編成化というのは限りなく可能性が低いです。
1回の輸送力を増やすよりも、本数増やして輸送力を増やした方がメリットがありますからね…😺💧
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