阪急は鉄道会社経営だけではなく、色々な分野で事業展開した歴史があります。阪急百貨店や宝塚歌劇、宝塚ファミリーランド、阪急ブレーブスなど…有名なものがたくさんあります。
色んな分野に事業展開した阪急ですが、実は、結婚相談所を運営していたことがあります。
阪急の結婚相談所
阪急が結婚相談所を開設したのは1935年のことです。阪急百貨店6階の第3期館(当時は西館)に結婚相談所がありました。
その名の通り、結婚の仲介を行ってました。業務は、
- 申込者の身元調査
- 申込者へのパートナー推薦
- 婚約までの仲介
でした。そしてこれらが全て無料で利用可能です。申込者は書類を提出するだけです。
また、結納や媒酌は基本的に行わなかったのですが、依頼があれば引き受け、結婚式場や披露宴会場の斡旋も行っていたようです。しかも謝礼無しで。
阪急の結婚相談所、第二次世界大戦中も休止することありませんでしたが、1950年11月30日をもって閉鎖されています。
尚、結婚相談所があったのは阪急百貨店内ですが、阪急百貨店が法人化されたのは1947年4月です。資本関係上は阪急電鉄1が1947年3月末まで結婚相談所を運営していたことになります。
何故、阪急が結婚相談所?
どうして、阪急が結婚相談所を運営していたのでしょうか?
小林一三、阪急電鉄・阪急百貨店を経営する上で、「共存共栄」という理念で事業推進しています。
小林一三自身、『逸翁自叙伝』等で結婚相談所についてはほとんど触れていませんが、小林一三の理念や方針を考慮すると、「阪急の結婚相談所を利用してもらって結婚し、阪急沿線に住んでもらい、阪急百貨店で買い物したり…という長期的に鉄道や百貨店の利用してもらう」ことを見込んだと考えられます。
…考えられますが、美談(?)として終わらせるのはもったいないので、もう少しだけ。
どうやら、1930年ごろから公設の結婚相談所が多く設立されていたみたいです。国策としては、結婚とその先の出産(人口増加)の狙いがあり、阪急もそれに便乗して1935年に設立した可能性もあります。そして無料であれば、国民と国家に貢献しているとアピール出来ますからね。
編集後記
ちなみに、現在も阪急百貨店(と、その隣の阪急グランドビル)に結婚相談所があります。
「阪急 結婚相談所」をGoogleマップで検索すると、阪急百貨店と阪急グランドビルに結婚相談所があるのがわかります。
参考文献
『株式会社阪急百貨店50年史』 株式会社阪急百貨店 50年史編集委員会 編