阪急9300系における側窓の差異についてのメモです。メモなのに低クオリティなサムネに1時間以上かけているという非効率極まりないことをしていますが、まあ別に良いでしょう。
差異と言っても、全固定側窓と開閉可能な側窓の2つだけなので、特に面白みとかはありません。
9300系の側窓
9300系の側窓は2種類あります。
まずはこれ。
それとこれ。
並べてみると、こんな感じです。
左側は車体側面とほぼ同じに見えるくらいフラットですが、右側は窓の縁が目立ちます。
近づいてみたら、その差がハッキリわかると思います。
こっちの方が、窓の縁が深いですね。
では、何でこんなことになっているのか…というと、窓の種類が違うというだけです。別に難しい話ではありません。
さっきの並べた写真、もう一度出します。
それぞれ、
- 写真左:全窓固定編成(9300F~9302F)
- 写真右:車端部だけ側窓開閉可能な編成(9303F~9310F)
となっています。
トップナンバーから数えて最初の3編成までは、乗務員室を除いて、全ての側窓が開閉不可な固定窓になっています。そうなると空気の入れ換え(換気)が出来なくなってしまいますが、そこは抜かりなく、強制換気を取り入れています。
で、どういう訳か、2008年に登場した9303F以降、車端部ではスイッチを押して開閉可能なパワーウィンドウが採用されています(2006年に登場した9000系9000Fと同仕様)。
これですね、パワーウィンドウ。8000系・8300系にもこのスイッチがあります。これがたまらんひとにはたまらん模様。
何故、途中から窓を変えた?
では、どうして、9300系の製造途中から全窓固定をやめて、車端部のみ開閉可能に変更したのでしょうか?
それはですね、分かりません。
事実として、9300系9303F以降、9000系と仕様を合わせていますが、そもそも、全窓固定にした理由も、途中から車端部のみ開閉可能にした理由も不明です。
全窓固定の懸念点
ところで、9300系の全窓固定については、阪急電鉄の役員・顧問を歴任した山口益生氏が『阪急電車』の中で懸念点を語っています。
側窓の開閉については、今さらいうまでもない。夏場の混雑時、長時間にわたり、電源がなくなった場合の事態は容易に想定できる。乗務員に対するマニュアルの策定で済む話ではない。また、4月と10月の端境期でも、冷房使用の機械は増えるだろう。4次車から、車端部の窓は開くことができるというが、まだまだ十分とはいえない。
―山口益生『阪急電車』222ページより引用
端的に言えば、「窓開かないの、ヤバい」ということです。確かに、その通りです。夏場とかヤバいと思います。
また、『鉄道ピクトリアル No.837 2010年8月号臨時増刊 【特集】阪急電鉄』でも山口氏が9300系の側窓の全固定について同様の主張をしており、
(前略)生理的に限界となれば,乗客が自ら車外に出るのを抑止するわけにはいかない.緊急避難である.この件に関しては,長い間阪急に籍を置いていながら,その意図するところを十分に伝え,議論した上で結論としなかったことについて,自責の念を禁じ得ない.
―『鉄道ピクトリアル No.837 2010年8月号臨時増刊 【特集】阪急電鉄』124ページより引用
とまで述べています。乗客の行動を想定した上で車両設計しているのかどうかを疑問視した上で、山口氏自身も責任を感じているという内容です。
参考文献
『阪急電車』山口益生著 JTBパブリッシング
『鉄道ピクトリアル No.837 2010年8月臨時増刊号 【特集】阪急電鉄』 株式会社電気車研究会