京阪6000系は京阪電気鉄道の通勤形車両。1500V昇圧対応車両として旧形式車両を置き換える目的で製造された。外観の斬新さだけではなく、技術面でも初採用が多く、京阪車両の近代化に大きく貢献している。
京阪6000系超概説
京阪6000系は1983年に登場した、京阪の通勤形車両です。1983年12月に架線電圧を1500Vへ昇圧するにあたって、昇圧に対応できない車両(600系・1300系・1700系)の置き換えを目的として設計・製造されました。
6000系は5000系以来のアルミ車両で、大型押出型材を採用し、一段下降窓の側窓、ドア開時の自動案内放送装置、ドア閉め時の予告ブザー等、外観の刷新以外にも新しい試みが行われた形式でもあります。
デビュー翌年の1984年には、京阪では初めてローレル賞を受賞しています。
諸元
製造年 | 1983年~1993年 |
製造数 | 115両 ※うち6014Fの3両は7000系編入 |
MT比 | 登場時(4両):全M 昇圧後(7両):4M3T 8両編成化後:4M4T |
車体 | アルミニウム合金 |
台車 | ダイレクトマウント空気ばね台車 ・M車:円筒案内式 ・T車:SUミンデン |
最高速度 | 110km/h(営業運転)、120km/h(設計) |
加速度 | 2.5km/h/s |
減速度 | 4.0km/h/s(常用)、4.2km/h/s(非常) |
制御方式 | 界磁位相制御 GTO-VVVF(試験のみ) |
全長 | 18,700mm |
全幅 | 2,780mm |
全高 | 4,185mm |
1編成あたりの両数は、登場当初4両編成、1500V昇圧時に7両編成、1989年の鴨東線開業後に8両編成と増え、製造数は115両にものぼりました(うち3両が7000系に転出したため、在籍数は112両)。
6014Fのうち京都寄りの6014・6114・6614は、VVVF試験を実施するために製造され、後に7000系へ転出されましたが、同じ車番で3両は再製造されています。そのうち先頭車両である6014は7000系と同じ前面形状で登場しています。
運用
ラッシュ時に通勤快急や通勤準急を担当したり、日中には急行・準急・普通などの幅広い運用に就いています。
また、8両編成ということもあり、8000系・3000系が検査や不具合等の離脱時の代走に就くこともあります。
デザイン
6000系より前に登場した京阪の車両と比べ、デザインが一新されたことから、「もはや、車体色だけが京阪電車であることをかろうじて物語っている」とWikipediaに書かれる程(ただし出典元が不明なので、センスのあるフレーズだけがひとり歩きしている可能性がある)。
車両前面は大型の窓を採用し、6000系より前の形式よりも視認性が大きく向上している他、前照灯や種別・行先表示器を前面ガラスの内側に設置するなど、車両前面がスッキリしている印象です。
尚、他の形式と併結を行わない前提のため、従来の京阪車両に見られた中央貫通扉ではなく、正面見て左側に非常扉を設置しており、この構造は、京阪の通勤形車両では7000系・7200系・9000系・10000系で採用されています(13000系では中央貫通扉を採用)。
編成表
記号 | 意味 |
VVVF | VVVFインバータ |
SIV | 静止形インバータ |
MG | 補助電源装置 |
CP | 空気圧縮機 |
◇ | パンタグラフ |
M | 電動車 |
c | 制御車 |
T | 付随車 |
8両編成 | 6000形 | 6100形 | 6600形 | 6500形 | 6750形 | 6550形 | 6150形 | 6050形 |
MG→SIV CP |
CP | MG→SIV CP |
||||||
◇ ◇ | ◇ ◇ | |||||||
Mc | M | T | T | T | T | M | Mc | |
6001F | 6001 | 6101 | 6601 | 6501 | 6751 | 6551 | 6151 | 6051 |
6002F | 6002 | 6102 | 6602 | 6502 | 6752 | 6552 | 6152 | 6052 |
6003F | 6003 | 6103 | 6603 | 6503 | 6753 | 6553 | 6153 | 6053 |
6004F | 6004 | 6104 | 6604 | 6504 | 6754 | 6554 | 6154 | 6054 |
6005F | 6005 | 6105 | 6605 | 6505 | 6755 | 6555 | 6155 | 6055 |
6006F | 6006 | 6106 | 6606 | 6506 | 6756 | 6556 | 6156 | 6056 |
6007F | 6007 | 6107 | 6607 | 6507 | 6757 | 6557 | 6157 | 6057 |
6008F | 6008 | 6108 | 6608 | 6508 | 6758 | 6558 | 6158 | 6058 |
6009F | 6009 | 6109 | 6609 | 6509 | 6759 | 6559 | 6159 | 6059 |
6010F | 6010 | 6110 | 6610 | 6510 | 6760 | 6560 | 6160 | 6060 |
6011F | 6011 | 6111 | 6611 | 6511 | 6761 | 6561 | 6161 | 6061 |
6012F | 6012 | 6112 | 6612 | 6512 | 6762 | 6562 | 6162 | 6062 |
6013F | 6013 | 6113 | 6613 | 6513 | 6763 | 6563 | 6163 | 6063 |
6014F | 6014 | 6114 | 6614 | 6514 | 6764 | 6564 | 6164 | 6064 |
【備考】 ・6014Fのうち、6014・6114・6614は7000系に編入(6014→7004、6114→7504、6614→7104) ・更新時にMGはSIVへ交換 |
関連リンク
参考文献
『車両技術 1983年6月 162号 「京阪電気鉄道6000系電車」』 社団法人日本鉄道車輌工業会
『鉄道ピクトリアル No.822 2009年8月号臨時増刊 【特集】京阪電気鉄道』 株式会社電気車研究会
『京阪電車』 JTBパブリッシング