2022年5月17日、京成電鉄は設備投資計画を公表しました。2022年度の設備投資額は167億円で昨年度から31億円の増額となっています。
…が、車両新造は実施されないみたいです。
投資額増も車両新造は見送り?
2020年度と2021年度の設備投資計画は、秋ごろに公表されていましたが、2022年度はコロナ前と同じ決算直後に設備投資計画が公表されています。
概要は以下。
(1)安全・安定輸送の追求
■ ホームドアの設置や防犯カメラの新設・増設など、駅・車内における安全対策を進めます。
■ 押上線 葛飾区内(四ツ木駅~青砥駅間)の連続立体交差事業や、
京成本線荒川橋梁架替工事を進めます。
■ 駅舎・高架橋柱の耐震補強工事や法面補強工事を進めます。
■ 踏切自動障害物検知装置の高規格化や列車無線のデジタル化など、
鉄道施設の更新・改良を進めます。
(2)人と環境に優しい取り組み
■ 駅施設のリニューアルおよびバリアフリー化を進めます。
■ 更なる環境負荷の低減を図るため、駅・車内照明のLED化を進めます。
「おや?」と思う方は多いかもしれません。何故なら、2021年6月30日に公表された「移動等円滑化取組計画書」には、
バリアフリーに対応した 3100 形を 5 編成導入
(2021 年度 2 編成、2022 年度 1 編成、2024 年度 2 編成)
と記載されていたからです。それなのに、2022年度の設備投資計画には、車両新造について一切言及されていません。
せめて「新造予定でしたが見送りました」とヒトコト添えて頂きたかったですが、2021年度の決算を見ると、鉄道事業は71億8,900万円の赤字なので、仕方ないと言えば仕方ありません。
「赤字解消していないのに、設備投資額は増えて、車両新造はしないとか…」みたいな感じに思う方もいらっしゃるでしょう。しかし、押上駅のホームドア設置や、四ツ木駅~青砥駅間の連続立体交差事業の継続、荒川橋梁架替工事の工事着手(まあ13年延期になってますが)、耐震・法面補強工事、その他安全対策への投資は避けて通れません。
尚、3100形は2021年度までに6編成導入済で、成田スカイアクセス線仕様の3050形6編成と同じ本数まで導入しているため、数字上は特に問題ありません。
都営浅草線5500形も成田スカイアクセス線の運用に就いていることもあり、昨今の利用状況をみて全体的な輸送キャパシティが不足することも無さそうです。
3400形も延命する…?
さて、新造が見送られた3100形ですが、これによって3400形が少しだけ延命するかもしれません。
3100形の導入に伴い、結果的に3400形の廃車(3408編成・3428編成)が進んでいますが、3100形の新造が無いという事は、1年だけ廃車が遅くなった可能性があります。ただし、京成内部的に2022年度導入予定だった3100形を、1年見送って2023年度に導入したり、2024年度に3編成導入で帳尻を合わせて来ることも考えられます。
少しずつ利用者が戻っているとはいえ、コロナ前の状況と比べると成田空港利用客に依存している部分が大きく、乗車人員が劇的に回復していないことを考えると、車両保有数を減少させて、新造無しの廃車もあり得ます。
楽観的に考えると3400形の余命が1年延期、悲観的に考えると3400形の余命は変わらない…ということを念頭に置いた方が良いかもしれません。
編集後記
予定されていた3100形が見送りになってみたいですが、2023年度以降の導入については、有価証券報告書や移動等円滑化取組計画書に何かしらの記載があるかもしれないので、それを待ちたいですね。
尚、京成電鉄が有価証券報告書を提出するのは、2022年6月29日の予定です。