京阪では2008年の中之島線開業に合わせて、車体のカラーリングを変更しています。車体上部と下部を新塗装で塗分けたことに加えて、車両前面に「スラッシュ・ムーン」という半円弧の黒色のデザインも採用されています。
ところで、スラッシュ・ムーンのデザインは全形式で採用されているわけではなく、6000系以降の形式で採用されています。
いったい何故なのでしょうか?
スラッシュ・ムーン採用形式
車両前面にスラッシュ・ムーンのデザインを採用している形式は、京阪のデザイン一新したと言われている6000系以降の形式です。
中央貫通扉の8000系・3000系(2代目)・13000系は半円弧になっています。
非常脱出扉が片側の6000系・7000系・7200系・9000系・10000系・800系(京津線)はエッジ具合が緩いですが、スラッシュ・ムーンを採用しています。
それぞれ、スラッシュ・ムーンのデザインにも差異はありますが、6000系より前に登場した形式は、スラッシュ・ムーンを採用していません。
何故、6000系より前はスラッシュ・ムーンがない?
では、どうして6000系より前に登場した形式にはスラッシュ・ムーンが無いのでしょうか?
京阪公式には発表されていませんが、以下2つが考えられます。
- 種別・行先表示器と被る(視認性の問題)
- デザインのバランスがよろしくない
それぞれ考えてみましょう。
種別・行先表示器と被る(視認性の問題)
6000系以降は種別・行先表示器が車両前面の上部に設置されていますが、6000系より前に登場した形式は、貫通扉に種別・行先表示器が設置されています。
スラッシュ・ムーンは車両前面の窓の下に施されているため、貫通扉に種別・行先表示器がある形式にスラッシュ・ムーンをデザインすると、種別・行先表示器と被ります。
あくまでも推測ですが、種別・行先表示器にスラッシュ・ムーンが被ったら、種別と行先が見えにくいのではないでしょうか。
デザインのバランスがよろしくない
もう一つはデザイン観点。
6000系では車両前面の窓が拡大され、窓枠が黒縁になっており、ブラックフェイスを採用しています。6000系以降の形式も同様です。
ブラックフェイスとスラッシュ・ムーンのバランスを考慮した上で、6000系以降の形式に限定してスラッシュ・ムーンを採用したと考えられます。
スラッシュ・ムーンを採用している形式は、ブラックフェイスからの連続性のあるデザインになっています。
一方、ブラックフェイスを採用していない形式は、どこにスラッシュ・ムーンの半円弧を描けばいいのかちょっと困ります。
いっそのこと、窓周りを黒く塗装してしまうという方法もありますが、無理にスラッシュ・ムーンを施すよりも、スラッシュ・ムーンを採用しない方が、バランスが取れているのではないでしょうか。
5000系にスラッシュ・ムーンをデザインしてみると…
というわけで、現役グラフィックデザイナーであるStyle-Train Graphics-の管理人・soseki様に無茶振りして5000系にスラッシュ・ムーンを施してもらいました。
今夜の寝る前ツイート。
デザインの言語化。
ものすごく難しいのです。とりあえず、違和感がぬぐえないっていうのはよくあることですが、それを理論づけたり説得力に変えたりするには、ものすごく頭を使うのです。これが出来ると、「正解」の提示ができるようになります。 pic.twitter.com/NfdI3KQbFV— soseki (@soseki1985) July 28, 2022
編集後記
スラッシュ・ムーンすき😽🌙