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【JR東日本】終電繰り上げの「効果」を発表、その実績は…?

JR東日本は、2021年12月7日のリリースで終電繰り上げの効果を発表しています。2021年3月のダイヤ改正で終電繰り上げを発表しており、その理由を「保守作業時間を拡大するため」としていました。実際にどれくらいの効果があったのでしょうか?




終電繰り上げの効果

JR東日本は2021年12月7日のリリースで、2021年のダイヤ改正で実施した終電繰り上げの効果を発表しました。

終電時刻の繰り上げによる施工効率の向上などについて|JR東日本

JR東日本が実施した2021年のダイヤ改正の目的は、夜間における「保守作業時間の拡大」です。そのため、首都圏主要路線の17線区で終電繰り上げを実施しました。

また、保守作業時間の拡大と合わせて作業の機械化を推進・導入を実施したことにより、

  1. 機械化の推進による施工効率向上・労力軽減
  2. バリアフリー設備などの早期供用開始
  3. 作業環境の改善による「働き方改革」の実現に向けた取り組み

の効果があったことを発表しています。

機械化の推進による施工効率向上・労力軽減

ダイヤ改正によって機械による作業時間を延長したことで、工事の効率アップと労力削減(という名の人件費削減)に成功しています。

機械施工の実作業時間拡大による施工効率向上や大型機械導入による労力軽減を実施しています。

  • TC型省力化軌道敷設工事1において、1割程度の施工効率(1晩あたりの施工延長)を向上しました
  • 中央快速線グリーン車導入における分岐器撤去・敷設工事において、人力施工から大型機械施工への変更による労力軽減につながりました
  • 電路設備簡素・統合化工事において、新型機械を導入し作業日数を削減しました

終電時刻の繰り上げによる施工効率の向上などについて|JR東日本より

端的に言うと、

「1日の夜間作業時間が増えたから、その分、効果があったよ!機械も導入したよ!」

ということです。実績としては1割程度の作業性向上

加えて、作業機械の導入を実施したことにより労力削減も効果としてあげています。三鷹駅分岐器撤去・敷設工事では約320名の労力削減(作業8日分の効果)となっており、機械導入により1日当たり40名分の人力作業を削減したことになります。


バリアフリー設備などの早期供用開始

作業の時間を確保出来たことにより、ホームドアの工事進捗が上がっています。

作業間合いの拡大に加え、全体工程の最適化による設備の早期供用開始を実施しています。

  • ホームドア工事において、当初計画より工期を1割程度短縮できました
  • ホーム上などの作業スペースを早期に撤去することで、お客さまにご迷惑をおかけする期間を短縮できました

終電時刻の繰り上げによる施工効率の向上などについて|JR東日本より

効果としては、当初計画より工期を1割程度短縮とあります。

また別紙にしれっと書かれていますが、

  • 間合い拡大に加え、材料調達期間などを考慮した全体行程の短縮を実施
  • 2021年度施工箇所において、1割程度工期を短縮(間合い拡大最大42分)

とあります。

終電繰り上げの効果よりも、「材料調達期間」というのがミソで、ホームドア導入を加速するために、ホームドアに必要な資材の調達方法を見直したのが大きいでしょう。

もちろん、終電繰り上げによって、現地作業の時間が確保されたことも大きな要因です。

作業環境の改善による「働き方改革」の実現に向けた取り組み

一応、働き方改革の実現に向けた取り組みも進めている様です。

機械化の推進による労力軽減や工期短縮などにより、工事従事者の休日数増加などを支援しています。引き続き、工事従事者の「働き方改革」の実現に向けて作業環境の改善などに取り組みます。

  • 1 晩あたりの検査数量が増加したことで、夜間作業の回数を削減できました
  • 人力から機械施工へ変更したことで、重労働からの転換を図ることができました
  • 終電が多少遅延した場合でも、夜間作業を中止することなく、計画通り仕事を進めることができました

終電時刻の繰り上げによる施工効率の向上などについて|JR東日本より

リリースを見ると、工事従事者の作業環境の改善に取り組んでいることをアピールしています。

ただし、疑問も残ります。いわゆる保守と呼ばれる領域にある検査の回数が減ったことで、夜間作業の回数を減らしたことをアピールしていますが、1日あたりの労働時間が延びたことによる肉体的負担のケアなどはどうなっているのかが疑問です。

また、「人力から機械施工へ変更したことで、重労働からの転換」という部分も曖昧で、

  • どの作業が重労働なのか
  • どんな作業が人力から機会に変わったのか

と言うのが見えてきません。

内部では、どの区間でどんな作業があり、重労働か否かをリストアップして、優先的に人力から機械化に変更すべき部分を選定していると思いますので(というかしてないと企業としてやばい)、そのあたりを一般レベルで公開することを期待したいです。


編集後記

JR東日本のリリースでは、「終電繰り上げの効果があったように見える」といえます。第一報レベルなので詳細までは書かれていませんでしたが、2022年度の報告で詳細がリリースされることを期待したいところです。もちろん、他の鉄道会社も。

関連リンク

終電時刻の繰り上げによる施工効率の向上などについて|JR東日本

2021年3月ダイヤ改正について|JR東日本

『協会報 SUBWAY 2021.02(228号)』|一般社団法人 日本地下鉄協会

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注釈

  1. 軌道保守の作業量を低減させる目的でJR東日本のテクニカルセンター(TC)が開発した軌道にすること。通常のバラスト軌道よりも枕木を大型化することで列車荷重の分散を図る。枕木下のバラストをセメント系充填材で固定化する構造になっているため、夜間作業で既存線路を省力化軌道に更新することが出来る。