南海高野線の橋本~極楽橋で運行している、南海の観光列車「天空」。根強い人気を誇る南海高野線の観光列車ですが、車齢50年を超えている古豪でもあります。
そんな天空ですが、天空を担当している2200系2203Fは、どうやら2026年度までに消えてしまう…かもしれません。
天空、天に召される?
少し遡って、2022年11月8日に公開された「南海電気鉄道株式会社における運賃改定申請について(運輸審議会ご説明資料)」という資料。旅客運賃の上限変更に関する資料です。
そこの19ページに、「説明変数について令和4年度~令和8年度までの推計の考え方」という小難しい文言がありますが、「1車両当たり輸送人キロ」の項目において、
・車両数は、老朽化した天空車両を2両廃車するため微減。
―国土交通省「南海電気鉄道株式会社における運賃改定申請について(運輸審議会ご説明資料) 令和4年11月8日鉄道局」19ページ
と記載されています(20ページにも同様の文言)。つまり、2026年度までに、現在の「天空」車両である2200系2203Fが廃車となる可能性が非常に高いです。
また、『鉄道ピクトリアル No.1017 2023年10月号 【特集】南海電気鉄道』においても、
(前略)もともと改造車で少し老朽化してきましたので,リニューアルするか,新しいものにするか検討しているところです.新車をつくれるかどうかわかりませんが,もう少し新しい車種を使ってリニューアルするという方法も考えられます.
―『鉄道ピクトリアル No.1017 2023年10月号 【特集】南海電気鉄道』21ページより引用
と記載されており、こちらでは具体的な時期は明言されていませんが、いずれにせよ、現在の「天空」車両を置き換えるコメントがあります。
新たな観光特急で「天空」を置き換え?
2022年10月3日に公開された「南海グループ 統合報告書 2022」において、
(前略)高野線で運行している観光列車「天空」は、2009年のデビューから約13年、ベースとなる車両導入からは50年以上が経過し、老朽化が進んでいます。近年は他社でも多くの観光列車が導入され、各社ともサービス内容に工夫を凝らしていることから、「乗りたい電車」を目的としたお客さまのニーズも多数あると見ています。そのため、これまでの経験を踏まえて新たな魅力を追加することで、より「乗ってみたい」と思っていただけるような観光列車の導入を検討しています。現在、2025年度の導入を目標として、運転区間やサービス内容について検討を進めています。
―「南海グループ 統合報告書 2022」40ページより引用
と記載があるように、南海高野線では2025年度に新たな観光列車の導入を検討しています。
また、2022年11月1日に公開された「南海電気鉄道株式会社における運賃改定申請について(運輸審議会ご説明資料)」(先ほどの運賃改定申請関連資料の1週間前に提出された資料)でも、
○利用者サービスの向上策
①安全対策
ア.車両新造、更新 146億円
・令和7年度を目標に高野線に新型観光特急の導入を計画―国土交通省「南海電気鉄道株式会社における運賃改定申請について(運輸審議会ご説明資料) 令和4年11月1日鉄道局」17ページ
とあり、2025年度までの新型観光特急の導入を計画しています。
一応、上記2資料の少し前、2022年3月31日付の「新中期経営計画「共創 140 計画」について」では、天空風デザインの車両イメージが掲出されています。
なので、「天空」の廃車の話と、新型の観光列車の話を合わせると、導入・廃車時期は、
- 2025年度内:新型の観光列車(観光特急)の導入
- 2026年度内:現行の「天空」(2200系2203F)の廃車
という流れになると考えられます。
編集後記
2025年度内に新型の観光特急が定期運用に就いたら、現行の天空は定期運用離脱→イベントで時々登場ってことになるかもしれないわね😺
参考文献
『鉄道ピクトリアル No.1017 2023年10月号 【特集】南海電気鉄道』株式会社電気車研究会
関連リンク
「南海電気鉄道株式会社における運賃改定申請について(運輸審議会ご説明資料) 令和4年11月1日鉄道局」|国土交通省
「南海電気鉄道株式会社における運賃改定申請について(運輸審議会ご説明資料) 令和4年11月8日鉄道局」|国土交通省