南海高野線では、難波駅~極楽橋駅の直通運転が存在しています。南海ファンならご存知だと思いますが、いわゆる「大運転」と呼ばれるものです。
現在もわずかに残っていますが、どうやら「大運転」が消えてしまうかもしれません。
大運転とは?
大運転とは、簡単に言ってしまえば、難波~高野山方面の直通運転のことです。
その歴史は古く…と、ここで話してしまうと本題から大きく逸れてしまうので、詳しくはコチラの記事でどうぞ(最後の方に同じリンク貼っておくので気になる方は後で)。
南海高野線の狭軌区間は極楽橋が末端なので、現在では、難波~極楽橋までの運転の事を指します。
かつては難波と極楽橋を直通する大運転が多く存在していましたが、橋本以南のワンマン運転が開始されて以降、大運転の本数は減っています。
大運転が、消えるかも…?
で、本題ですが、その大運転が消えるかもしれないという話。
『鉄道ピクトリアル No.1017 2023年10月号 【特集】南海電気鉄道』の誌上にある、南海電鉄の鉄道事業本部長・梶谷知志氏と大東文化大学の名誉教授・今城光英氏の対談において、大運転が行われる17m級の車両についての話が少しだけ書かれています。
それから,当社には17m車がたくさんあるのですが,その活用が難しいのと,ホームドアのことがありますので,17m車は,割り切って急曲線の区間だけで使うようにしていこうかと思っています.
―『鉄道ピクトリアル No.1017 2023年10月号 【特集】南海電気鉄道』28ページより引用
とのこと。
具体的に形式は書かれていませんが、17m級の車両は2000系・30000系・31000系の3形式です。いずれも、難波~極楽橋を走る車両です。
もし、同誌上の通り、これらの車両が橋本以南に限定されるとなると、南海から大運転が消滅することになります。
ただ、引用元の鉄道ピクトリアル誌上では、17m級車両を橋本以南に限定する時期については明確に記載されていませんので、しばらく大運転は残ると考えられます。
何故、17m級車両を橋本以南に限定?
どこの鉄道会社でもホームドア設置が急ピッチで進められています。その度に話題となるのが、ドア位置の違いです。
乗降ドアの位置が異なることで、ホームドア設置の難易度が上がり、投資額や工費と言った金銭的な課題や、特殊なホームドア設置によるホーム自体の工事、そして工期の延長…などなど。まあ、色々あります。
そして、南海は20m級車両と17m級車両が存在しており、乗降ドア位置が異なります。そのため、ホームドア設置の足かせとなります。
車体長がネックであれば、全ての車両を20m級に置き換えれば解決しますが、南海の場合、山岳区間である橋本~極楽橋間は線形の都合上、どうしても17m級の車両が必要です。そのため、南海は17m級の車両を手放すことは出来ません。
なので、鉄道ピクトリアル誌上で語られている通り、
- 17m級の車両を橋本以南での山岳区間運用に限定
- それ以外の区間では20m級の車両に統一する
という方法を取らざるを得ない、ということになります。
編集後記
本線や高野線の平坦区間を走る17m級車両が見れなくなるわね😿
参考文献
『鉄道ピクトリアル No.1017 2023年10月号 【特集】南海電気鉄道』株式会社電気車研究会