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【京急】ウィング・シートは何故ガラガラなのか?

京急にはウィング・シートといわれる座席指定サービスが存在します。

このウィング・シート、平日の朝夕ラッシュに設定されている全席指定のウィング号とは異なり、土休日ダイヤの日中帯限定で2100形で運行される快特の浦賀寄り2両目に設定されています。

しかし、このウィング・シート、色々と問題があり、利用客は一向に伸びず、登場当初から失敗と言われています。




ウィング・シートの概要

ウィング・シートは土休日ダイヤで運行される日に設定されている京急の座席指定サービスです。2019年10月26日に開始されました。

使用車両2100形
種別快特
座席数72席
乗車可能駅・上り:三崎口(始発)・三浦海岸・京急久里浜・横須賀中央・金沢文庫・上大岡
・下り:泉岳寺(始発)・品川・京急蒲田・京急川崎・横浜・上大岡
料金・KQuick:300円
・現金:500円
備考・ICカードでの購入不可
・現金の場合、車内購入のみ
・KQuickの場合のみ座席指定可能

使用車両は2100形で、ウィング・シートは浦賀寄り2両目に設定されています。

KQuickと呼ばれるウィング号およびウィング・シートのチケットが購入専用サービスがありますが、KQuickの会員登録とクレジットカード情報の登録が必要です。

少し手間はかかるかもしれませんが、KQuickで購入した方が200円お得です。


何故、ウィング・シートはガラガラなのか

さて、このウィング号ですが、結論から申し上げますと、ガラガラです。

土休日ダイヤであれば三崎口方面へ遊びに行く人が多く、ウィング・シートの利用客も多いのでは?と考えられますが、見事にガラガラです。

何故ガラガラなのか。問題点はいくつかありますが大きくは3つです。

  • 券売機で購入できない
  • 停車時間が短すぎる
  • 座席グレードが同じ

それぞれ解説します。

券売機で購入できない

まず、ウィング・シートがガラガラな原因としては券売機で購入できないことです。

平日の朝夕ラッシュに設定されているウィング号を利用するためには、「Wing Ticket」(ウィングチケット)と呼ばれる座席指定券が必要で、KQuickか自動券売機で購入することができます。しかし、ウィング・シートは自動券売機で購入できません

先述した様に、ウィング・シートの座席指定券は、Quickか車内で購入する必要があります。座席指定サービスなのに駅の自動券売機で購入が出来ないという状態です。

日中帯に運行し、ウィング・シートの様な編成の一部で座席指定サービスを提供しているのは、京阪のプレミアムカーや南海のサザンなどがありますが、駅で購入可能です。

ユーザビリティを考えると、駅で現金購入が出来た方が利用する側としては楽ですが、導入・整備コストの問題からか、ウィング・シートが購入出来る自動券売機を設置していません。


停車時間が短すぎる

原因その2は停車時間が短すぎることです。

ウィング・シートは休日ダイヤの日中に設定されていますが、通常の快特に設定されているため、専用の種別で運行されていません。

快特は速達性を重視しているので停車時間は短く、駅で列車を待っている乗客が一般席と有料席のウィング・シートを選択している時間がありません。選択する時間が短いのは致命的で、「ちょっと試しにウィング・シートに乗ってみようかな」という利用客を拾う機会が失われています。

また、「浦賀寄り2両目はウィング・シートを設定しているので、是非ご利用下さい」という案内する時間(利用促進)もありません。駅でアナウンスされるのは「ウィング・シートは事前予約か車内での座席指定料金が必要です」という注意の内容だけです。

座席グレードが同じ

ウィング・シートは2100形の浦賀寄り2両目に設定されていますが、隣の車両と座席グレードが同じです。

KQuickで300円・現金で500円を支払って着席保証が確約されるのは当然として、座席グレードが他の車両と同じなのは付加価値として低いです。

先述しましたが、日中帯に運行し、ウィング・シートの様な編成の一部で座席指定サービスを提供しているのは、京阪のプレミアムカーや南海のサザンなど。京阪のプレミアムカーは6号車にグレードの高い専用車両を設定しています。南海のサザンも和歌山寄り4両はリクライニングシート、難波寄り4両はロングシートに分けられています。

追加料金を払う対価サービスが着席保証のみで、座れる座席も特別感があるわけではないので「隣の車両でもいいや」ということになります。そもそも、三崎口まで乗るなら金沢文庫あたりから空いて来ますので、ちょっと立つの我慢したら座れます。


結果、リピーターを作れない

ウィング・シートは、券売機で購入できないので利用のハードルが少し高く、停車時間が短いので乗車時に選択する時間が無く、他の車両と座席グレードが同じなので特別感が乏しいという3コンボが原因で空気輸送になっているのですが、それには副次的な原因も存在します。

実際にウィング・シートに乗ったことがある人なら分かりますが、ウィング・シートのアテンダントさんは基本1人、つまりワンオペなので、素早く多くの利用客を捌けないということです。

KQuickならアテンダントが持っているQRコード読取端末でピッとしたらおしまいですが、現金の場合は端末入力と着席券の印刷、おつりの用意などで少し時間がかかります。現金利用客が1人くらいなら良いのですが、同じ駅で複数の乗客が現金支払いの場合だと、オペレーションに人数分の時間がかかります。

これの何が問題なのかと言うと、リピーターが作れないということです。

「お試しで1回利用してみようかな」という乗客が実際にウィング・シートを利用してみて、いざ現金支払いで利用して見ると「座れるまで時間かかるな」と感じてしまうと、「次も利用してみよう」という気になれません。

ハードルが高い利用の仕組みに加えて、オペレーションに時間がかかっているということで、リピーターを逃しているということになります。


編集後記

値段は文句言わないから、せめて券売機でウィング・シートのチケットが購入できるようにして欲しい😿

関連リンク

座席指定ウィングサービス|京浜急行電鉄

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鉄道イベント情報(鉄道コムtetsudo.comより)

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