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【謎】何故、京急600形608編成ではVVVFとSIVのメーカーが混在していたのか?

京急600形と言えば、京急のバルーンフェイスの始祖であり、地下鉄線直通の通勤形車両でありながらクロスシートでもあり、しかもツイングルシートという非常にトリッキーな機構を備えた車両として話題を呼びました。

更新工事でロングシート化され、京急線内だけではく、直通先の都営浅草線や京成線、そして成田スカイアクセス線のアクセス特急に就くなど、京急の中では優等生な感じに落ち着いています。

ただし、600形608編成については謎が残っています。




先を見据えた京急600形4次車

京急600形608編成の話の前に、608編成が相当する4次車グループのお話から。

600形4次車グループは、8両編成1本・4両編成6本の合計32両が製造されました。京急600形の4両編成は4次車グループのみ存在し、4両編成の車番は650番台が付与されています。

600形は実質的に1500形をなぞった機器構成になっていたので、「顔はバルーン・中身は1500形・座席はカオスなクロスシート」という状態でしたが、4次車からは次世代車両を見据えた設計が行われていました。

600形4次車グループの機器構成は、

  • MT比の変更(3:1→1:1)
  • 主電動機出力の向上(120kW→180kW)
  • VVVFの1C4M化
  • シングルアームパンタグラフの採用(Tp車に2台搭載)

となっています。

この機器構成に変更された目的は、4両・6両・8両を製造するにあたって設計変更を不要にするためであり、これが後に製造される2100形や2代目1000形の礎となっています。


メーカーが混在するVVVFとSIV

今回の主役、600形608編成ですが、VVVFとSIVのメーカーが混在しています。

600形608編成が登場した当時の編成表と主要機器は、次の様になっています。

デハ600 デハ600 サハ600 サハ600 デハ600 デハ600 デハ600 デハ600
Muc T Tp1 Mu Ms T Tp1 Msc
608-1 608-2 608-3 608-4 608-5 608-6 608-7 608-8
東洋
VVVF
東洋
SIV
東洋
VVVF
三菱
VVVF
三菱
SIV
三菱
VVVF

他の600形4次車ではVVVF・SIVのメーカーが混在しているという事態は発生していません。

何故、こんなことになってしまったのかは、理由は不明です。

推測にはなりますが、

  • 4両編成2本を製造する計画だったが、8両編成1本に変更
  • 編成内で主要機器がメーカー混在でも問題無いかという試験

の2点が考えられます。

4両編成2本を製造する計画だったが、8両編成1本に変更

600形が製造されていた当時の計画は不明ですが、「もともと、4両編成2本を製造する予定だったのが、8両編成1本の製造に変更された」ということが考えられます。

急遽、8両編成が必要になってしまったものの、「既に4両編成の東洋製VVVFと三菱製VVVFがそれぞれ調達済みであり、そのまま8両編成にメーカー混在で搭載した」というのであれば、個人的には「京急なら有り得そう」と思ってしまいます(あくまでも個人的な意見です)。

もちろん、真偽は不明です。

編成内で主要機器がメーカー混在でも問題無いかという試験

また、「編成内でVVVFのメーカーが混在していても問題無いか」という試験をするために、敢えてメーカーを混在させたということも考えられます。

基本的に、京急では編成内において、VVVFのメーカーが混在するということはありません。

基本的に混在していないのですが、600形608編成の他にも、1500形1713編成でもVVVFのメーカーが混在しています。1500形1713編成のうち、1713・1717は東洋GTO-VVVF1715が三菱GTO-VVVFのメーカー混在となっています。そしてこれも謎。

調達先の都合上、納品がどうしても間に合わない等のリスク分散を考慮して、VVVFのメーカーを編成内で混在させたのであれば、納得する…様に思えます(あくまでも個人的な意見です)。

もちろん、これについても真偽は不明です。


ターゲットになる600形651編成

さて、種類の異なるメーカーのVVVF・SIVを搭載した600形608編成ですが、機器更新の際にメーカー統一を実施します。

そして、ターゲットになったのが、同時期に更新工事を実施する600形651編成でした。

600形4次車の4両編成は、編成内のVVVF・SIVが三菱か東洋で統一されていたため、608編成からは、三菱か東洋のどちらかのVVVF・SIVが交換対象となります。

たまたま更新工事の時期が重なった600形651編成は、三菱のVVVF・SIVを搭載していたため、

  1. 600形651編成から三菱のVVVF・SIVを引っこ抜く
  2. 600形608編成から東洋のVVVF・SIVを引っこ抜く

として、最終的に、

  • 600形608編成:編成内で三菱のVVVF・SIVに統一
  • 600形651編成:東洋のVVVF・SIVに換装

となりました。

608編成機器更新後
デハ600 デハ600 サハ600 サハ600 デハ600 デハ600 デハ600 デハ600
Muc T Tp1 Mu Ms T Tp1 Msc
608-1 608-2 608-3 608-4 608-5 608-6 608-7 608-8
東洋
VVVF


三菱
VVVF
東洋
SIV


三菱
SIV
東洋
VVVF


三菱
VVVF
三菱
VVVF
三菱
SIV
三菱
VVVF
651編成機器更新後
デハ600 サハ600 サハ600 デハ600
Muc T Tp2 Msc
651-1 651-2 651-3 651-4
三菱
VVVF


東洋
VVVF
三菱
SIV


東洋
SIV
三菱
VVVF


東洋
VVVF

ところで、何故、600形608編成の機器を統一したのかは不明です。

VVVFのメーカーが混在していると前後衝動が激しいという説もあります。ただし、メーカー混在編成とメーカー統一編成で衝動比較の試験を実施して、その結果、「VVVFのメーカーを統一した方がベストである」という資料等があれば良かったのですが、残念ながら、その類の資料はありませんでした。

「編成内にVVVFのメーカーが混在していることで、整備・保守に時間とお金がかかる」というメンテナンスの理由であれば、まだ納得できますが、正直なところメンテナンス観点でも不明です。

「VVVF・SIVのメーカーが混在していたが、機器更新の際に統一された」という事実は残りましたが、「何故そんなことをしたのか?」という真相は闇の中となります。


編集後記

こればかりは謎だわね😺💧

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参考資料

『鉄道ピクトリアル No.935 2017年8月号臨時増刊 【特集】京浜急行電鉄』 株式会社電気車研究会

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