2002年に登場した京急1000形はシーメンス製のGTO-VVVFインバータ、いわゆるドレミファインバータを搭載していました。
600形4次車以来の4両編成も製造されることになり、4両編成には1400番台が付与されます。4両編成の第1編成である1000形1401編成は2002年6月に製造されました。そして、1000形1401編成だけは製造された1年半後、ドレミファインバータが外されてしまいました。
1年半で取り外されるドレミファインバータ
1000形1401編成は2002年6月に製造されました。
2100形と1000形8両編成に引き続いてドレミファインバータを採用し、歌う電車の一員として登場します。
1401編成は2100形と使用している主要機器はほぼ同じですが、基本的な設計思想は600形4次車に準拠しています。8両編成と4両編成を1本ずつ用意すれば、6両編成2本を組成できるように柔軟性も考慮しています。
8両編成と連結して12両編成で運行したり、4+4の8両編成で運行したり、はたまた普通運用に就いたりと活躍の場が多くある4両編成。その期待を一身に背負い、順風満帆で登場した4両編成の1000形1401編成ですが、製造された1年半後の2003年12月、ドレミファインバータが取り外されることになります。
何故、ドレミファインバータを外されたのか?
IGBT-VVVFの試験走行
何故、1401編成がドレミファインバータを外されたのかというと、不具合があったわけではありません。シーメンスIGBT-VVVFインバータの試験走行のためにドレミファインバータを外したのです。
1980年代後半からGTO-VVVFが鉄道各社で採用されて主流になりましたが、2000年に入ってIGBT-VVVFインバータが採用されつつあったので、京急でもIGBT-VVVFの採用を検討していました。そこで1401編成がターゲットになります。
旧形式で試験走行しても良いのですが、京急では600形4次車から編成あたりの機器構成を変更しています。また、機器構成が同じという理由だけで、600形4次車でIGBT-VVVFの試験走行を実施するよりも、増備を予定している1000形で試験走行を行った方が、より正確なフィードバックを得られます。
2年5ヶ月後に戻る歌声
1401編成は、2003年12月からシーメンスIGBT-VVVFインバータの試験走行がスタートし、その後、2006年5月にシーメンスGTO-VVVFインバータへ戻されます。
約2年5ヶ月の試験走行を経て、1401編成はドレミファインバータに復帰し、歌声を取り戻しました。
1401編成が試験走行を実施している間、2005年1月に1041編成がシーメンスIGBT-VVVFで登場します。1401編成のフィードバックで問題無しと判断して、1041編成が登場するまで約2年経過していることもあり、京急としてはかなり慎重だったと考えられます。
シーメンスIGBT-VVVFを採用した1041編成が登場後、京急ではシーメンスのGTO-VVVFインバータ、つまりドレミファインバータを採用しなくなりました。
貴重な1401編成のシーメンスIGBT-VVVFインバータの動画
ちなみに、貴重な1401編成のシーメンスIGBT-VVVFインバータの動画がYouTubeにアップロードされています。
1000形3次車以降で採用されているシーメンスIGBT-VVVFインバータよりも、低い音で叫んでいます。
編集後記
そして、1401編成は2016年に機器更新が入り、東芝製のIGBT-VVVFインバータに変更され、1401編成のドレミファインバータは無くなりました。その後、みなさんご存知の通り、京急から…というか日本から、ドレミファインバータが消滅しています。
試験のためとはいえ、GTO→IGBT→GTO→IGBTという変遷を考えると、趣味的にはなかなか面白い編成です。個人的には、シーメンスIGBTを試験走行時に搭載した後も、GTOに戻さずにそのまま使い続けても良かったのでは?と思いますが、わざわざ戻しています。
真相は京急のみぞ知る…といったところでしょうか😺💧
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参考資料
『鉄道ピクトリアル No.935 2017年8月号臨時増刊 【特集】京浜急行電鉄』 株式会社電気車研究会
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