2021年に西宮市と尼崎市が発表した、阪急神戸線の武庫川新駅設置。時期は未定ですが、西宮北口駅と武庫之荘駅の間、武庫川の上に新駅を設置するという構想です。
ところで、この武庫川新駅に特急などの優等列車が停まるのかどうかについて、注目している方も多いかと思います。
では、実際のところ、武庫川新駅に優等列車が停まる可能性はあるのでしょうか?
優等列車が停車する基準
武庫川新駅に優等列車が停車するかどうか…の前に、阪急における優等列車が停車する基準を簡単に説明します。
阪急では優等種別を停車させる駅の条件を公表していませんが、摂津市議会において、優等種別が停車する基準(目安)が明らかになっています。
流石に摂津市議会の会議録を読む人はそうそう居ないと思うので、詳細は過去記事をご覧頂ければと思いますが、端的に述べると基準は2つです。
- 他路線・他社線との乗り換え駅
- 乗降客数30,000人
これを武庫川新駅に当てはめてみます。
他路線・他社線との乗り換え駅
武庫川新駅の設置予定地は、西宮北口駅と武庫之荘駅の間に流れている武庫川の上に設置される予定です。
となると、他路線・他社線との乗り換えはほぼ不可能と言えます。
モーセの十戒によって海が割れる様な奇跡が起き、なんやかんやで乗り換え駅になれば話は別ですが、他路線・他社線との乗り換え駅になる話すら全くないので、乗り換え駅になることはまずないとみて良いでしょう。
なので、「他路線・他社線との乗り換え駅」という基準では優等列車が停車することはありません。
乗降客数30,000人
乗降客数はどうでしょうか?
摂津市議会でも述べられていますが、乗降客数の基準で優等列車を停車させる場合、阪急は乗降客数30,000人を目安としています。
では、武庫川新駅は、この30,000人という目安を満たすのでしょうか?
乗降客数については、兵庫県・西宮市・尼崎市・阪急電鉄の4者が連名で公表している「(仮)武庫川周辺阪急新駅に関する検討について」の中で、事業効果の検討に含まれています。
事業効果の検討の中に、「新駅への転換利用者人数」(乗降客数)という検討事項があり、西宮市(西宮北口)・尼崎市(武庫之荘駅)の見込みでは、
- 西宮市(西宮北口駅):10,367人
- 尼崎市(武庫之荘駅):12,256人
としています。合計で22,623人となります。
一目瞭然ですが、阪急が優等列車を停車させる目安である、乗降客数30,000人を下回っていることがわかります。
コロナが発生する以前、2019年の駅別乗降人員から神戸線の他の駅と比べてみましょう。
神戸線の各駅のうち、「優等列車が停車」「乗り換え駅でない」という前提で、武庫川新駅の見込み乗降客数22,623人を上回っているのは、
- 武庫之荘駅:49,963人(通勤急行停車)
- 岡本駅:28,105人(特急・通勤特急・快速特急停車)
- 六甲駅:29,523人(快速急行停車)
の3駅です(西宮北口駅以西の急行・通勤急行は各駅停車なので除外)。武庫川新駅の見込み乗降客数22,623人を下回っている駅では、優等列車は停車していません。
武庫之荘駅は乗降客数30,000人ボーダーを余裕で上回り、岡本駅と六甲駅もほぼ乗降客数30,000人のため、優等列車が停車しています。
武庫川新駅の場合、見込み乗降客数22,623人なので、30,000人ボーダーを下回っている岡本駅・六甲駅にも届いていないので、優等列車を停車する材料としては少々物足りないと考えられます。
乗降客数を考えると優等列車の停車は難しい
「他路線・他社線との乗り換え駅」という基準で優等列車が停車する可能性はほぼゼロ、乗降客数の観点(30,000人ボーダー)でも、見込み乗降客数が少ない事から、優等列車の停車は難しそうです。
ただし、乗降客数の観点で言うと、可能性はゼロではありません。
武庫川新駅が設置される周辺で、大規模な住宅開発プロジェクトが立ち上がり、「乗降客数30,000人を超える」という要因が加われば、優等列車を停車する可能性も出てきます。
そうなると、「どうダイヤを組むのか?」という別の問題も出て来ると考えられますが、乗降客数は決して無視できない要因の一つです。何らかの方法で対処すると思いますが、またそれは別の機会にでも。
編集後記
武庫川新駅、あと5,000人くらい乗降客数が増えるなら、優等列車が停車するかもね😺
関連リンク
(仮)武庫川周辺阪急新駅に関する検討について 報告書(令和 3 年 9 月 )|武庫川周辺阪急新駅に関する検討会
(仮)武庫川周辺阪急新駅に関する検討報告書【概要版】(令和3年9月)|西宮市
駅別乗降人員(2019年通年平均)|阪急電鉄(インターネットアーカイブ)