東武50000系は2004年に登場した東武鉄道の通勤形車両。東武のカボチャ電車と呼ばれる特徴的なカラーリングとしてイメージを一新しただけでなく、直通先で運用可能な基本設計もさることながら、座席指定サービス対応可能なバリエーションが存在したりと、東西南北を縦横無尽に駆け巡っている。
東武50000系超概説
東武50000系は2004年に登場した東武鉄道の通勤形車両です。4つのバリエーションが存在し、東武線内の伊勢崎線・東上線の他、直通先で見かけることも多い形式です。
通勤・近郊電車の標準仕様ガイドライン仕様を考慮して設計されている20m級車両でありつつも、日立製作所の車両ブランド「A-train」を採用しています。
諸元
製造年 | 2004年~2012年 |
製造数 | 40編成400両(1編成10両) |
MT比 | 5M5T |
車体 | アルミニウム合金 |
台車 | モノリンク式ボルスタレス台車 |
最高速度 | 110km/h(営業運転)、120km/h(設計) |
加速度 | 3.3km/h/s |
減速度 | 3.5km/h/s(常用)、4.5km/h/s(非常) |
制御方式 | IGBT-VVVFインバータ制御 |
全長 | 20,000mm 20,130mm(50070型・50090型の先頭車) |
全幅 | 2,876mm 2,846mm(50000型3次車以降・50050型・50070型3次車以降) |
全高 | 4,050mm |
東武の通勤車両では初のアルミニウム合金を採用し、基本的な設計は後に登場する東武60000系にも引き継がれています。
製造バリエーションによって多少の差異はありますが、基本的なスペックは統一されており、非常に優秀な設計と言えるでしょう。
デザイン
無塗装のアルミ車体ですが、全面下部とドア脇にシャイニーオレンジを施していることから、東武のカボチャ電車とも呼ばれています。
前照灯がギョロっとした目の様にも見え、30000系以前の東武通勤車両からイメージを一新していることも特徴的です。
車内風景については、オンタイム様(個人サイト様)とStyle-Train Graphics-様(個人サイト様)にてお楽しみください。
バリエーション
東武50000系は全ての編成が10両とシンプルな編成ですが、大きく4つのバリエーションが存在し、それぞれ異なる役割を担っています。
バリエーション | 運用 |
50000型 | 東武東上線系統 |
50050型 | 伊勢崎系統(東京メトロ半蔵門線・東急田園都市線直通可) |
50070型 | 東武東上線系統 (東京メトロ有楽町線・副都心線、東急東横線、横浜高速鉄道みなとみらい線直通運転可) |
50090型 | 東武東上線系統(TJライナー用車両) |
50000型
50000系の原型。東武東上線系統での運用を目的として製造されました。
トップナンバーのみ正面に貫通扉が存在しない1枚窓ですが、その他は、50050型と構造を揃えるために、貫通扉を設置しています。
トップナンバーとそれ以外の微妙な違いとして、貫通扉を設置した関係で、前照灯・尾灯の位置が約10センチだけ上に設置されることになりました。
尚、51008編成は東上線から転属されて、伊勢崎線及び直通先の半蔵門線・東急田園都市線で運用されています。
50050型
東京メトロ半蔵門線・東急田園都市線への直通を前提とした伊勢崎系統車両。
30000系で使用されていた直通運転用の機器を再利用(剥ぎ取り)しています。直通規定のために車体幅が2,770mmとなっていることや、3社対応列車無線送受話器の設置をしたりと、50000型から半蔵門線・田園都市線への対応にグレードアップした仕様になっています。
50070型
東京メトロ有楽町線・副都心線・東急東横線・みなとみらい線への直通を前提とした東上線系統車両。
基本スペックは50050型と同じですが、副都心線と有楽町線に設置されているホームドア位置の関係上、先頭車の全長を130mm延長して20,130mmとなっています(中間車は20,000mm)。
50090型
東武東上線の座席指定サービスの対応を前提とした車両。
関東では初のL/Cカー(ロングシート・クロスシート転換可能車両)で、一般運用の他、座席指定サービスのTJライナーの運用に就くことが可能です。
50000系と比べて、外観に車体の窓下に細いロイヤルブルーの帯をまとい、TOJO LINEの文字が刻まれていることが特徴です。