普段から京成高砂駅を利用している方なら、ご存知だと思いますが、京成高砂駅には、開かずの踏切が存在します。遮断器が下がっている時間の方が長いのではないかと感じるくらいに踏切を渡れませんし、交通渋滞の原因にもなっています。
で、この京成高砂駅ですが、連続立体交差の話が昔から出ています。出ているのですが、なかなか手が出せない状態なのです。いったい何故なのでしょうか?
京成高砂駅の状況
京成高砂駅は、京成本線・北総線の分岐駅で、隣の青砥駅とセットでジャンクション機能を有しています。5番線高架ホームからは京成金町線に乗り換えることも出来ます(一度、改札を出る必要がありますが)。
青砥駅とともに、成田・千葉ニュータウン方面と上野・押上(都営浅草線・京急線)方面を結ぶ重要な駅であり、乗降人数は京成線内でもトップクラスです。
また、京成高砂駅のすぐ西側は、京成電鉄内で2番目に大きい車両基地、高砂検車区があります(京成最大の車両基地は宗吾車両基地)。車両の留置に加えて検査も行っている他、京成高砂駅からの始発、もしくは京成高砂駅終点の列車も多く設定されており、非常に重要な役割を担っています。
駅周辺はイトーヨーカドー高砂店やセルカ高砂店などのスーパーマーケット、商店街には飲食店などがあり、気取らない庶民の下町の雰囲気があります。そして何と言っても駅周辺に住宅や団地が多いです。
連続立体交差
このままだと京成高砂駅の駅探訪になりそうですので、そろそろ本題に入ります。
京成本線だけでなく、4社局(京成・京急・都営浅草線・北総鉄道)直通においても重要度の高い京成高砂駅ですが、大きな問題を抱えています。
京成高砂駅近辺にお住いの方はご存知だと思いますが、「開かずの踏切問題」です。そして、その「開かずの踏切問題」を解消するために、連続立体交差の話が昔から出ています。
開かずの踏切問題
上の写真は京成高砂駅の南側から撮影した写真です。写真左には「連続立体交差」の文字の書かれた旗が見える通り、京成高砂駅を含む連続立体交差化の要望が出ています。
この踏切ですが、基本的に遮断器が下がったままです。どれくらい下がったままかと言うと、一度遮断器が下がると、5分くらいは平気で遮断器が下がったままです。
京成高砂駅を経由するバスを何度か利用したことがありますが、遮断器が上がってもすぐに下がるので、ラッシュ時間帯はなかなかバスが進みませんでした。
どうして遮断器が下がっている状態が続くかと言うと、先述しましたが、京成高砂駅は京成本線と北総線の分岐駅で、往来する列車の本数が多いです。さらに、京成高砂駅の東側にある高砂検車区の存在も、開かずの踏切問題の要因の一つになっています。
こちらは高砂検車区の写真ですが、京成高砂駅から徒歩で1~2分くらいの場所にあります。というか、京成高砂駅から見えます。京急や都営浅草線の車両も出入りしているので、鑑賞する分には色んな車両を見ることが出来ます。
少し話が逸れました。この高砂検車区があるため、京成本線・北総線を行き来する列車に加えて、京成高砂終点・始発の列車が高砂検車区に出入りするので、列車の往来数は増え、踏切の遮断器が下がっている時間が長くなります。
行政側の動き
さて、京成高砂駅の開かずの踏切問題ですが、葛飾区が連続立体交差の早期実現を望んでいます。
「高砂駅周辺の踏切対策について」というページで、開かずの踏切が地域発展の阻害と問題視しています。
その対策について、長期的に取り組んでおり、短期対策と中期対策は実施済となっています。
- 短期対策(鉄道事業者により実施済み)
手動式踏切の自動化、自転車・歩行者通行帯の拡幅等- 中期対策(鉄道事業者により実施済み)
京成金町線の高架化、高砂駅南側のエレベーター設置等- 長期対策(関係機関と検討中)
京成本線(京成高砂駅から江戸川駅付近)連続立体交差化の早期実現
短期対策は手動式踏切を自動式に交換、中期対策は成田スカイアクセス線開業に伴う京成高砂駅5番線ホーム(金町線ホーム)の高架化によって完了となっています。
そして、肝心の連続立体交差はというと、検討中になっています。
2020年8月に公開された「高砂駅周辺地区まちづくりガイドプラン」では、
- 連続立体交差事業
- 鉄道車庫の移転
が構想されています。
尚、連続立体交差と同等に重要となる鉄道車庫(高砂検車区)の移転について、ガイドプランでは、既存の高砂検車区の南側に移設し、緩衝緑地帯を整備して周辺の住環境に配慮することを検討しています。
また、2021年10月12日付の、東京都知事宛の要望書で、京成高砂駅から江戸川駅にかけての連続立体交差事業の早期事業化と、京成高砂駅周辺のまちづくり事業に対する支援を要望しています。
極めて困難な立ち退き
ところで、連続立体交差を進めるとなると、避けて通れないのが立ち退きです。
まず、大きなところではイトーヨーカドー高砂店。
物理的に取り壊してというのは可能だと思いますが、京成高砂駅付近の住民が普段利用しているスーパーマーケットを取り壊す場合、代替となる同規模のスーパーマーケットが必要となります。
連続立体交差事業が検討中のため、最終的な事業区域は未定ですが、セルカ高砂店も同様のことが言えます。連続立体交差事業が進行中に、住民がスーパーマーケットを利用出来なくなるという不便に、どう対処するのかは明らかになっていません。
こちらは、京成高砂駅の西側にある陸橋。見ての通り、住宅がたくさんあります。
京成高砂駅も高架化されるので、当然、現在の京成高砂駅周辺に用地が必要なのですが、多くの住宅の他にも、神社・寺・墓地があり、全て立ち退き要求を通すとなると、困難を極めるどころでは済まない領域に足を踏み入れてしまう可能性があります。
編集後記
葛飾区は連続立体交差事業を進めるために、ガイドプランの作成や要望書を提出していますが、住宅や商業施設などが密集している状態のため、どこを落としどころにするのか非常に難しい問題に直面するでしょう。