ここ1年、鉄道各社で活発になっている輸送実験。地域の特産物、採れたて野菜や水揚げしたばかりの魚介類、他にはトラックで運送していた郵送荷物を空きスペースを利用して運送するなど、色々なものが試験的に運ばれています。
2020年10月、東武鉄道ではスペーシアが温泉を運ぶという、話題性のある輸送実験を行っていましたが、今年は「空き缶」を運びます。
東武70000系「空き缶運びます」
温泉の次は空き缶を運ぶみたいです。
- 期間:2021年10月1日(金)~10月14日(木)
- 輸送実験対象形式:70000系70000型
- 北千住~北春日部間の各駅で回収後
- 南栗橋車両管区春日部支所で分別してリサイクル処理会社へ引き渡し
詳細は公式リリースをご確認下さい。
さて、この空き缶を運ぶ列車、北千住駅から10:15発の回送で、北春日部駅まで各駅に停車し、空き缶(ペットボトルや空きビンも)を回収し、南栗橋車両管区春日部支所で空き缶を荷下ろし、荷下ろし後は分別し、運送業者がリサイクル処理会社へ引き渡す…という流れになります。
SDGs的には?
また、SDGsの観点から、東武としては⑧と⑫が該当すると提示しています。
⑧包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用を促進する
→また、回送列車が車両基地に到着後、東武鉄道の障がい者雇用を推進する特例子会社であるシンフォニア東武の社員が空き飲料容器の資源ごとの分別作業を行い、障がい者雇用の職域拡大の可能性も検証します。
⑫持続可能な生産消費形態を確保する
→飲料メーカーのベンダー業務効率化と、通勤・通学輸送を終えて車両基地へ戻る回送列車の有効活用を両立させる新たな取り組みとして、その事業性や効果を検証するものです。
雇用の拡大を見出しつつ、回送列車の空気輸送を有効活用するところから、SDGsの取り組みに繋がるというのが東武鉄道の見解です。
課題も?
リリースには記載が無いですが、どうしても飲み残しがビニール袋溜まっていたりして、空き缶回収時にビニールが破けると車内にこぼれてしまう懸念もあります。
今回は輸送実験なので、車内の廃棄物を置くスペースに下敷きをすることや、春日部検修区への輸送後に清掃・消毒のオペレーションを整備する等、検討段階でおおよそは認識していると思いますが、「実際にやってみて」から色々と課題が出て来ると思います。
特に、飲み残しの消毒は、昨今のコロナ禍で敏感になるところです。SDGsに則している検証であっても、費用対効果を考えながら実用段階になるまでは遠い道のりになりそうです。
編集後記
今回、実験とは言え、廃棄処理予定のものを貨客混載で運ぶのは衛生的にもよろしくないので、回送列車が取り上げられたと考えられます。
貨客混載だけでなく、回送列車で運べるモノも探せばたくさん出て来ると思うので、東武の発想が他の鉄道事業者にも広がると良いですね😺
関連リンク
駅構内で収集された空き飲料容器を回送列車で輸送する実証実験を10月1日から東武スカイツリーラインで実施します|東武鉄道
10月17日(土)に特急車両を活用した地域特産品の輸送実験を実施します。|東武鉄道(2020年リリース分)
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