2031年の開業を目指して工事中のなにわ筋線。鉄道ファン的に注目するのはなにわ筋線を走る車両です。南海・JR西日本、それと阪急も乗り入れするという話がちらほらと出て来ています。
その中で最も気になるのが、南海のラピート。現状のラピートではなにわ筋線に乗り入れが難しいとのことですが、では、なにわ筋線のラピートはどのような顔になるのでしょうか?
なにわ筋線対応のラピートの新造
なにわ筋線におけるラピートについては、2017年当時の南海電鉄社長・遠北光彦氏が、朝日新聞の取材に対して、
JR新大阪駅と難波を結び、関西空港へのアクセス鉄道となる新線「なにわ筋線」の開業に合わせ、南海電気鉄道が、新型の空港特急を導入する。いまの空港特急「ラピート」が構造上、地下を走行できないためで、具体的なデザインなどは今後検討していくという。
とコメントしています。
2017年当時のコメントということもあり、コロナ禍を経て状況が変わっているかもしれませんが、既に構造上の問題で地下区間を走行できないことを南海がコメントしていることから、なにわ筋線用のラピートは製造される可能性は非常に高いと考えられます。
非常脱出口は?
現行のラピートである南海50000系では地下区間を走行できないということで具体的に何がネックなのかは明らかにされていません。
明確な情報源が少ない状態でこんなことを書くのは滑稽ですが、そんなことを言っていたら何も始まらないですし、エルノラ・サマヤさんがスレッタ・マーキュリーに教えた様に、「進めば二つ」ということなので、とりあえず進めます。
南海の2017年のコメントにある様に「構造上」という文言を拾うと、その一つとして考えられるのが非常脱出口です。
非常脱出口(省令文章中では「貫通口」)の設置については、「鉄道に関する技術上の基準を定める省令の解釈基準」で記載されています。
そのうち、91ページの「第75条(貫通口及び貫通路の構造)関係」で、貫通口及び貫通路の設置及び寸法が記載されており、地下鉄等旅客車の貫通口の必要数は、「建築限界と車両限界の基礎限界との間隔」が側部において400㎜未満の区間を走行する車両で、2つ必要と定められています。
長々と述べましたが、省令上のポイントとしては、なにわ筋線の全区間において、車両の側面とトンネル壁面の間が400mmを確保出来ているかどうかとなります。
トンネル内の寸法については不明確な部分がありますが、「「ラピート」が構造上、地下を走行できない」という文言を拾うと、やはり非常脱出口は必要になると考えられます。
参考になりそうな顔がある…?
非常脱出口を設けた特急形車両で地下区間を走行している車両は存在しています。
小田急ロマンスカーの一角、60000形「MSE」です。
日本初の地下鉄に直通する座席指定制特急列車であるMSEについては、実績も充分です。現在でも千代田線に入線しており、かつては有楽町線にも入線していました。地下区間を走行する特急形車両という点においては、ラピートの参考の一つとしては好事例と考えられます。
ただ、現状のラピート(南海50000系)の顔は手放す必要があります。
ラピートの顔を見れば一目瞭然ですが、曲面を用いた形状なので、この顔を維持したまま非常脱出口を設置するとなると、難易度が非常に高いです。
また、外観だけではなく、乗務員室の構造も非常脱出口を設置する前提で考慮する必要があります。
運転台側から見ると分かると思いますが、小田急60000形「MSE」の非常脱出口は右側に寄せています。それに伴い、運転台は左に寄せられています。
一方、ラピートは、前面に非常脱出口を設置する前提では無いので、運転座席こそ左寄りですが、ほぼ中央に運転台が設置されています。
鉄道車両は基本的に運転台は左に寄せているタイプが多い事や、地下区間を走行する特急形車両の先輩である小田急60000形を参考にすると、運転台を左に寄せて、右側に非常脱出口を設置するのが妥当ではないでしょうか。
編集後記
流線形を残しても、顔のところに非常脱出口を設置したら、曲面は減らされそうね…😺💧
関連リンク
あの顔では無理なので…なにわ筋線に新型ラピート投入へ|朝日新聞デジタル(インターネットアーカイブ)