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京急で8両固定のL/Cカーが登場する可能性はあるのか?

京急では、1000形1890番台(20次車)がL/Cカー(ロングシート・クロスシート転換可能なデュアルシート)として登場しました。1500形普通鋼車の置き換え時期を迎えることもあり、しばらくは1890番台が製造される予定です。

ところで、この1890番台、というかL/Cカー、8両固定編成で登場する可能性はあるのでしょうか?




現状のL/Cカーの役割

まずは、京急における現状のL/Cカーの役割です。

モーニング・ウィング3号で、2100形8両編成と連結して12両編成で品川まで運行しています。

モーニング・ウィング3号では2100形と同じく、座席指定サービスを提供している他、2号車にバリアフリートイレ、3号車に男性用トイレが設置、全席にコンセントを配備しており、欲張りセットと言えるサービスレベルです。

ただし、京急の直通先である都営浅草線・京成線には入線できていません。将来的に直通運転も検討している様ですが、まだ京急線内での運用にとどまっています。

1890番台と同じく中央貫通扉の構造を持つ1800番台は、4+4で先頭車同士を貫通幌でつないだ状態で京成線への入線実績があります。しかし、4+4でも最近はもっぱら京急線内での運用にとどまっています。

普段の運用の他、トイレを設置していることから、イベント列車での活用も想定している車両です。むしろイベント列車での利用の方が本領発揮と言ったところでしょうか。


L/Cカー8両固定編成のメリット

さて、L/Cカーが8両固定編成が製造された場合、どのようなメリットがあるでしょうか。

まず、8両固定の場合、結合作業をせずに都営浅草線・京成線に直通可能になります。既存の1890番台は4両編成のため、4+4で先頭車同士を貫通幌でつなぐ必要がありますが、8両固定の場合は、その必要がありません。

また、8両固定L/Cカーのウィング号も設定可能なことや、土休日ダイヤで2100形だけが設定しているウィング・シートを8両固定のL/Cカーが担当できることも挙げられます。

ただし、ウィング号とウィング・シートに関しては、座席予約画面とウィング・シート乗務員のオペレーション端末のシステム改修が必要になるため、採算に見合わなければ見送る可能性もあります。



8両固定編成L/Cカーの課題点

しかし、課題もあります。

まず、2100形や1000形と比べて、着席定員が少ないことがネックになります。L/Cカーの場合は座席数もロングシート時の着席定員は片側6席と少なく、バリアフリートイレ・男子トイレが設置される車両は車端部の着席定員も削減されます。

2100形と1000形、1890番台、そして、8両固定編成の場合のL/Cカーの定員と着席数を表にしてみました。

製造次 先頭車 中間車 8両編成あたり 備考
2100形 定員:111人
着席:50人
補助席:12人
定員:120人
着席:54人
補助席:16人
定員:942人
着席:424人
補助席:120人
1000形
1~5次車
定員:122人
着席:41人
補助席:4人
定員:130人
着席:48人
補助席:8人
定員:1024人
着席:370人
補助席:56人
1000形
6~9次車
定員:119人
着席:39人
定員:130人
着席:52人
定員:1178人
着席:390人
1000形
10~15次車
定員:118人
着席:39人
定員:129人
着席:52人
定員:1010人
着席:390人
1000形
16~19次車
定員:116人
着席:38人
補助席:2人
定員:126人
着席:50人
補助席:4人
定員:988人
着席:376人
補助席:28人
1000形
20次車
(1890番台)
定員:101人
着席:34人
2号車:107人
2号車着席:30人
3号車:111人
3号車着席:28人
定員:840人
着席:252人
4+4で8両編成あたりの定員を算出
L/Cカー8両編成 定員:101人
着席:34人
定員:120人
着席:40人
定員:922人
着席:308人
・中間車定員は120人で仮置き
・トイレ未設置の場合を想定

一覧にして比較してみると、ドア間の座席が片側6席となっているL/Cカーの着席数が圧倒的に少ないです。

8両固定のL/Cカーの定員数と着席数は、トイレ未設置での仮定の数字ですが、クロスシートである2100形の着席数はおろか、定員数も劣ります。

仮にトイレを設置する場合、トイレの汚水も定期的に処理する必要があるため、日中に久里浜への回送が必要となります。そして、トイレの汚水を処理するために専用のダイヤを組む必要も出てきます(日中ずっと運用に就いていたらトイレのタンクがパンクするでしょうし、流石に京成の宗吾車両基地で処理はしてくれないでしょうから…)。

もし、4両編成の1890番台とは違い、トイレを設置しないのであれば、車端部に座席を設置して着席定員を増やすことが出来ますし、汚水処理のために久里浜への回送も必要無くなります。



600形の二の舞になる可能性も?

ここまで書いておきながら今更ですが、8両固定でL/Cカーを製造した場合、600形の二の舞になる可能性も捨てきれません。

 

600形はツイングルシートをひっさげて登場しました。しかしながら、混雑による遅延の要因になっていたこともあり、600形4次車ではツイングルシートを廃止、更新工事ではツイングルシートは撤去され、ロングシート化されています。

8両固定のL/Cカーを導入することで、ロング・クロスの切り替えが出来るため、600形のツイングルシートの様になる可能性は低くはなるはず…ですが、構造上、戸閉状態でのロング・クロスの切り替えが前提となるので、京急の過密ダイヤで転換オペレーションを行う時間を捻出することができるのか、という問題もあります。

諸々の課題を差し引いても導入するメリットがあると京急内で結論が出れば、8両固定のL/Cカーを製造するかもしれませんが、果たして…


編集後記

色々と課題があると思いますが、8両固定のL/Cカーが出てきたら、趣味的には非常に面白いですね😺

関連リンク

京急新1000形1800番台が都営浅草線・京成線に乗り入れ|鉄道ニュース|2016年6月17日掲載|鉄道ファン・railf.jp

協会報 SUBWAY 2021.05(229号)|日本地下鉄協会

参考資料

『鉄道ピクトリアル No.935 2017年8月号臨時増刊 【特集】京浜急行電鉄』 株式会社電気車研究会

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