2023年12月16日、朝日新聞の報道によると、延伸を検討している京阪中之島線について、2023年度中の決定を見送ることが明らかになっています。
京阪の眠れる獅子が、今年度は眠ったままということになります。
2023年度中の延伸の可否は見送り
今回、朝日新聞は、
(前略)京阪ホールディングス(HD)が検討している中之島線(天満橋―中之島)の延伸について、今年度中の方針決定が困難になったことが15日、分かった。同HDの加藤好文会長が朝日新聞のインタビューで明らかにした。
―朝日新聞「京阪中之島線の延伸構想、年度中の決定は見送りへ IRの動向に不安」より引用
と報道しています。
尚、2023年7月3日に京阪ホールディングス内で発足した「中之島線延伸検討委員会」は、2023年度中に延伸可否についての結論を出すとしていました。
中之島線延伸の計画としては、中之島線・中之島駅から延伸し、大阪メトロ中央線・九条駅と接続するもので、京阪HD内の検討委員会では「IRの来場者を含めた需要がどれくらいあるか、収支予測を議論する」ということでした。
京阪ホールディングスによると、
- 延伸事業費が膨らむ見通し(建材費・人件費等の高騰)
- 違約金なしでIRの計画を撤回できる「解除権」が3年間延長
とのことから、2023年度中の延伸可否の決定を見送ったとしています。
解除権の期間延長、何が問題?
IR事業の解除権が2023年9月から2026年9月まで延長されたことにより、今回の中之島線延伸の可否を見送ったことが大きな要因となっています。
では、解除権の延長の何が問題なのかというと、中之島線延伸決定後に解除権が発動された場合、IR無しで中之島線延伸事業を進めるという、とても残念な状態になるということです。
そもそも、中之島線延伸構想の大前提は夢洲におけるIR事業の開業です。
もし仮に、京阪側が解除権のことを一切考えずに、以下の様な状況になった場合、京阪にとっては最悪のシナリオとなります。
- 2023年度内:中之島線延伸を決定
- 2024年~:中之島線延伸工事の建設着手(撤退出来ない状況になる)
- 2026年9月:IR株式会社が解除権を発動(IR撤退)
- 2026年9月~:IRが撤退しても中之島線延伸は継続
- 延伸開業後:空気輸送&赤字垂れ流し
上記はあくまでも仮定ですが、もし解除権が発動されてIR事業が打ち切りになった場合に、誰のためにやってるのか分からない中之島線延伸工事を継続し、京阪が毎年赤字を垂れ流すどころか、計画を認定した国が補助金(国民からありとあらゆる手段を用いて搾り取った税金)を払い続ける必要も出てきます。
解除権が発動されても頑張って建設した後、九条駅まで接続するので、ある程度の延伸効果は出るかもしれません。
しかし、夢洲にIRが出来ないとなると、IR以外で夢洲に一大集客施設の話が全くないので、延伸先の九条駅まで空気輸送になる可能性がゼロとも言い切れません。そうなると、延伸開業後の維持・整備にかかるランニングコストをまかなえるのかという問題も出てきます。
…ということなので、解除権の期間延長が、中之島線延伸可否の決定にとってネックになっています。
関連リンク
京阪中之島線の延伸構想、年度中の決定は見送りへ IRの動向に不安|朝日新聞デジタル