京急には土休日ダイヤ限定でウィング・シートと呼ばれる座席指定サービスが存在します。
2100形で運行される快特の浦賀寄り2両目が座席指定サービスとして設定され、座って移動できるという利点がありますが、かなりガラガラです。
そんなガラガラなウィング・シートですが、理論上、どれくらい儲かるのでしょうか?
ウィング・シートとは?
ウィング・シートは京急が提供する土休日ダイヤ限定の座席指定サービスのことです。
支払い方法は2つあり、KQuick(クレジット払い)は300円、車内での現金購入は500円です。券売機での発売は無く、SuicaやPASMOなどの交通系ICカードでの購入も不可です。
KQuickだとスマホの画面を見せて、アテンダントさんに端末で読み取ってもらうだけなので早いのですが、クレジット登録という絶妙なハードルの高さが利用拡大の妨げになっています。現金でも利用可能ですが、あまり流行っていない…というか広く認識されていません。
緊急事態宣言が発令されると休止になったり、繁忙期の特別ダイヤが設定される場合に休止になったりしています。
ウィング・シートはどれくらい儲かるの?
ウィング・シートがガラガラなのは一旦置いておいて、ウィング・シートが理論上、どれくらい儲かるのかを計算してみましょう。
というわけで、必要な情報はコチラ。
項目 | 値 | 備考 |
座席数 | 72席 | ウィング・シート設定車両の座席数 |
運行本数 | 17本 | 上り8本・下り9本 |
同座席購入回数 | 1~6回 | 1運行あたり同じ座席で購入可能な回数 |
KQuick支払い | 300円 | 座席指定可能 |
現金支払い | 500円 | 座席指定不可。車内のみ購入可能 |
上記の前提で、同座席購入回数ごとで全席埋まった場合、ウィング・シートの1日の売上がコチラ。
ウィング・シートが全席埋まった場合(1日) | ||||||
同座席 購入回数 |
1回 | 2回 | 3回 | 4回 | 5回 | 6回 |
座席数 | 72席 | 144席 | 216席 | 288席 | 360席 | 432席 |
購入数 (上下17本) |
1,224席 | 2,448席 | 3,672席 | 4,896席 | 6,120席 | 7,344席 |
KQuick売上 | 367,200円 | 734,400円 | 1,101,600円 | 1,468,800円 | 1,836,000円 | 2,203,200円 |
現金売上 | 612,000円 | 1,224,000円 | 1,836,000円 | 2,448,000円 | 3,060,000円 | 3,672,000円 |
全てKQuickで購入した場合と、現金で購入した場合に分けました。
1日あたり、KQuickで最大約220万円の売り上げ、現金で最大約367万円の売り上げになります。
同座席の購入回数が1回の場合、例えば、快特始発駅から終点までウィング・シートで乗り通してもらった場合でも、1日あたりKQuickで約36万円、現金で約61万円の売り上げとなるので、かなり良いんじゃないでしょうか。
もし、始発駅から終点まで乗り通してもらって、しかも全席埋まっているのであれば、1日で36万円~61万円の売り上げが出ます。
仮に、ウィング・シートが1ヶ月8日設定の計算だと、1ヶ月で288万円~488万円の売り上げ、1年で3,500万円~5,800万円の売り上げになります。昨今の厳しい経営状況においては、かなりおいしいとも言えるでしょう。
現実
もちろん、上記の計算はウィング・シートが全席埋まればという前提です。つまり、捕らぬ狸の皮算用です。
現実は少し…というか大きく異なります。ウィング・シートはガラガラで、イレギュラーがあれば真っ先に休止される境遇に陥っています。もちろん、盛況な時もありますが、それは一瞬の出来事です。
そんなガラガラのなかで、アテンダントさんの人件費やKQuickのシステム運用費、現金処支払い対応に使用する端末のシステム利用料など、コストが垂れ流しの状態になっています。
ウィング・シートの売り上げがどれくらいあるのか明確な資料が提示されていないので、具体的にどれくらいの売り上げなのかを是非とも公開を心から望んでいますが、いかんせん、京急からはウィング・シートの売り上げは公開されていません。
編集後記
こんな下らない計算をしているのは当サイトだけと信じたいです。
確かに、理論上の売上を計算してみると、既存の仕組みに最小限の投資で結構良い利益を生み出せるんじゃないかという甘い経営判断に陥ってしまいそうなことも致し方無いと思います。
あろうことか、鉄道会社がこんな計算をしてウィング・シート開始のゴーサインを出した…なんてことは天地がひっくり返っても信じたくないですね😿