京急では、600形4次車から1000形2次車まで、MT比が1:1で構成されていました。ところが1000形3次車において、600形3次車まで採用されていた3:1のMT比に戻っています。これは一体どうしたというのでしょうか?
1000形3次車からのMT比の変更
京急1000形2次車までのMT比は、8両編成は4M4T、4両編成は2M2Tの1:1でした。このMT比は600形4次車から採用されており、2100形も同様のMT比となっています。
600形4次車 | |||||||
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デハ600形 | サハ600形 | サハ600形 | デハ600形 | デハ600形 | サハ600形 | サハ600形 | デハ600形 |
Muc | T | Tp1 | Mu | Ms | T | Tp1 | Msc |
2100形 | |||||||
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デハ2100形 | サハ2100形 | サハ2100形 | デハ2100形 | デハ2100形 | サハ2100形 | サハ2100形 | デハ2100形 |
Muc | T | Tp | Mu | Ms | T | Tp | Msc |
1000形1次車・2次車(8両編成) | |||||||
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デハ1000形 | サハ1000形 | サハ1000形 | デハ1000形 | デハ1000形 | サハ1000形 | サハ1000形 | デハ1000形 |
Muc | Tpu | Tu | Mu | Ms | Ts | Tps | Msc |
1000形1次車(4両編成) | |||
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デハ1000形 | サハ1000形 | サハ1000形 | デハ1000形 |
Muc1 | Tpu1 | Tps1 | Msc1 |
1000形2次車(4両編成) | |||
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デハ1000形 | サハ1000形 | サハ1000形 | デハ1000形 |
Muc1 | T | Tp | Msc1 |
ところが、1000形3次車からMT比が変更されました。8両編成は6M2T、4両編成は3M1Tとなり、8両編成ついては、600形3次車までの6M2Tに戻っています。
600形1~3次車 | |||||||
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デハ600形 | デハ600形 | サハ600形 | サハ600形 | デハ600形 | デハ600形 | デハ600形 | デハ600形 |
M1c | M2 | Tu | Ts | M1′ | M2′ | M1 | M2c |
1000形3次車(8両編成) | |||||||
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デハ1000形 | サハ1000形 | デハ1000形 | デハ1000形 | デハ1000形 | デハ1000形 | サハ1000形 | デハ1000形 |
Muc | Tpu | M2u | M1u | M1s | M2s | Tps | Msc |
1000形3次車(4両編成) | |||
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デハ1000形 | デハ1000形 | サハ1000形 | デハ1000形 |
M1uc1 | M2 | Tp | Msc1 |
何故、MT比が変更になったのか?
600形4次車から採用していた1:1のMT比ですが、1000形3次車で600形3次車のMT比に戻しています。これは、雨天走行時における加速性能維持と、乗り心地の向上が目的です。
そもそも、600形4次車で1:1のMT比を採用した理由は、編成両数ごとの設計変更を不要とするためです。京急では、8両編成・6両編成・4両編成が存在しているため、各バリエーションごとに設計するとコストがかかるので、合理的かつ経済的と言えます。
ただし、600形3次車までの6M4Tから、600形4次車の4M4T(8両編成)・2M2T(4両編成)に変更したことによって、雨天時の空転や滑走が発生することが多くなり、乗り心地が低下している要因になっていました。
2100形でもMT比を1:1にしていましたが、2100形導入の際には、スリップ・スライド制御性能のある、シーメンス社の制御装置を採用し、MT比1:1のウィークポイント対策を実施しています。
1000形でも継続してMT比1:1を採用していましたが、結局、乗り心地の観点からMT比の見直しが入り、1000形3次車のタイミングで600形3次車のMT比に戻っています。
編集後記
1000形1次車では、8両編成1本と4両編成1本から6両編成2本に組成変更できる機器構成になっていましたが、1000形2次車では組成変更できなくなっています。その状況から考えると、1000形3次車でのMT比変更は、1000形2次車が製造された時点での決定事項だったのかもしれません。
参考資料
『鉄道ピクトリアル No.935 2017年8月号臨時増刊 【特集】京浜急行電鉄』 株式会社電気車研究会
『鉄道ピクトリアル No.767 2005年10月号臨時増刊 【特集】鉄道車両年鑑2005年版』 株式会社電気車研究会
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