JRや大手私鉄では、列車が走行している位置がリアルタイムで分かる「列車走行位置情報サービス」を提供しています。
スマートフォンを開いて、アプリを起動すれば、列車が走行している位置が簡単に分かります。
JRや大手私鉄では当たり前に提供しているサービス…ですが、京阪だけはスマートフォンのアプリではなく、Webサイト上でのみ列車走行位置が確認出来ます。
いったい、何故、京阪はアプリではなく、Webサイト上で列車走行位置を公開しているのでしょうか?
列車走行位置情報サービスの提供形態
関西圏の鉄道会社では、JR西日本・関西大手私鉄5社・山陽電鉄が列車走行位置情報サービスを提供しています。
プラットフォーム別の一覧はコチラ。
鉄道事業者 | アプリ名 | Google Play | App Store | Web |
JR西日本 | JR西日本 列車運行情報アプリ | 🔗 | 🔗 | 🔗 |
WESTER | 🔗 | 🔗 | – | |
阪急 | 阪急沿線アプリ | 🔗 | 🔗 | – |
阪神 | 阪神アプリ | 🔗 | 🔗 | – |
京阪 | – | – | – | 🔗 |
近鉄 | 近鉄アプリ | 🔗 | 🔗 | 🔗 |
南海 | 南海アプリ | 🔗 | 🔗 | – |
山陽 | 山陽アプリ | 🔗 | 🔗 | – |
一覧を見ると分かりますが、京阪を除いて、各社がスマートフォンのアプリで列車走行位置情報サービスを提供しています。
Webサイト上で列車走行位置情報サービスを提供しているのは、JR西日本・近鉄・京阪の3社のみで、JR西日本と近鉄はアプリとWebサイトの両方を提供しています。
では、どうして京阪だけは列車走行位置情報サービスをアプリで提供しないのでしょうか?
Webサイト上なら、より多くの人が閲覧可能
では、何故、京阪は列車走行位置情報サービスをWeb上でのみ公開している(アプリを提供していない)のでしょうか?
その理由については、『鉄道ピクトリアル No.1004 2022年10月号臨時増刊 【特集】京阪電気鉄道』で、京阪電鉄株式会社 営業推進部 営業課の方が執筆しています。
5.在線位置情報システム
(2) 本システムの概要
~(中略)~
また、「情報アクセスの簡便性」を実現するために、Webブラウザ上で閲覧する方式を採用することで、アプリ等をダウンロードすることなく、誰でも簡単に閲覧できる構成とした。―『鉄道ピクトリアル No.1004 2022年10月号臨時増刊 【特集】京阪電気鉄道』30~31ページより引用
つまり、「アプリをダウンロードしなくても、インターネットにアクセス出来るなら、誰でも見れますよ」ということを、京阪が主目的としていることがわかります。
日本人の90%近くがスマートフォンを保有していると言われており、確かに、スマートフォンさえ持っていれば誰でも列車走行位置は見ることが可能です。
…が、日本人全員がスマートフォンを持っているわけではなく、ガラケーの人もいらっしゃるため、アプリをダウンロード出来ない人も少なからず存在します。
また、京阪沿線の観光客が列車走行位置情報サービスを使用する時に、いちいちアプリをダウンロードするのは手間です。京阪の列車走行位置情報サービスは駅にQRコードが掲載されているため、QRコードを読み取り可能な端末であれば、すぐに確認することが出来ます。
利用者としては、Webサイトの方がメリットが大きい
ここからは個人的な意見になりますが、列車走行位置情報サービスについては、スマートフォンのアプリよりもWebサイトの方がメリットが大きいです。
パッと思いつくだけで、
- スマートフォンのバッテリー消費が少ない
- スマートフォンのOSバージョンに依存しない
- スマートフォンじゃなくても閲覧可能(PCやガラケーでもOK)
などなど。
この様に書いてしまうと、「アプリいらないのでは?」と思うかもしれませんが、アプリにもメリットがあります。事故や遅延の通知を迅速に実行できるという点です。Webサイトはページ更新の制約が発生してしまうため、クリティカルな情報をリアルタイムで受け取るのはアプリの方が有利です。
また、アプリそのものは「列車走行位置の確認」は機能の一つであり、総合情報提供サービスです。沿線の情報や鉄道会社の旅行商品の案内等を発信する機能も備わっているので、色んな情報を閲覧することが出来ます(これは、利用者というよりも、鉄道会社側のメリットかもしれませんが)。
…と、色々書きましたが、「列車走行位置を確認する」という目的に限定するのであれば、京阪がアプリではなく、Webサイト上に列車走行位置情報サービスを提供しているのは、利用者目線であることが分かります。
編集後記
便利な時代になったわね😺📱
参考文献
『鉄道ピクトリアル No.1004 2022年10月号臨時増刊 【特集】京阪電気鉄道』