京急1500形は京浜急行電鉄の通勤形車両。京急車両では初めてとなる両開き3ドア、ワンハンドルマスコン、製造途中からアルミ車両、VVVFインバータを採用するなど、京急の通勤車両の近代化に大きく貢献した。
京急1500形超概説
京急1500形は1985年から登場した、通勤形車両です。初代京急1000形の置き換え、および、都営浅草線・京成線・北総線まで直通可能な車両として製造されました。
登場時、車体は普通鋼、制御方式は界磁チョッパ制御で登場しましたが、時代の流れに順応して、アルミ車両とVVVF制御を備えた編成を製造し、1995年のダイヤ改正での120km/h運転を実現するために、一部編成のVVVF化改造工事も実施しています。
1500形で採用された技術は、後に登場する600形・2100形・1000形にも脈々と受け継がれていることから、京急車両の近代化に大きく貢献した車両とも言えます。
諸元
製造年 | 1985年~1993年 |
製造数 | 166両 |
MT比 | 4M(4両編成) 4M2T(6両編成) 6M2T(8両編成) |
車体 | 普通鋼 アルミニウム合金 |
台車 | ダイレクトマウント式ボルスタ台車 (空気ばね車体直結乾式ゴム入り円筒案内支持方式) |
最高速度 | 120km/h(営業運転)、130km/h(設計) |
加速度 | 3.3km/h/s(界磁チョッパ 6M2T編成のみ) 3.5km/h/s |
減速度 | 4.0km/h/s(常用)、4.5km/h/s(非常) |
制御方式 | 界磁チョッパ制御 GTO-VVVFインバータ制御 IGBT-VVVFインバータ制御(VVVF化車両) |
全長 | 18,000mm |
全幅 | 2,798mm(普通鋼車) 2,830mm(アルミ車) |
全高 | 4,030mm 4,050mm(パンタ車) 4,040mm(アルミ車パンタ無し) |
4両・6両・8両が在籍し、車体材質や制御方式が混在していることから、一見すると混迷している様に思えますが、京急車両の中ではシンプルな部類に入ります。
後に登場する600形にも、1500形で導入された要素が大きく取り入れられていることから、1500形の基本設計が非常に優秀…とも言えますが、600形がツイングルシート実現に注力した結果、基本設計や機器類を流用したとも言えるので、評価が分かれるところです。
運用
京急1500形の運用は幅広く、京急線内でエアポート快特・快特・特急・エアポート急行・普通の種別を担当する他、ウィング号の代走の実績もあります。4両編成車両は京急本線・京急大師線の運用に就くこともあり、京急随一の働き者とも言えます。
8両編成は京急線・北総線まで直通し、成田空港まで直通するアクセス特急を担当することもあります。また、4両編成は終夜運転で京成金町線まで乗り入れたこともあり、汎用性の高さもうかがえます。
1600番台・1700番台・1900番台
1500形と言いつつも、車両番号に1600番台と1700番台、そして1900番台を使用しています。
- 1600番台:1988年から製造された6両編成車両・8両編成
- 1700番台:1990年から製造されたVVVF車両の電動車
- 1900番台:1700番台の付随車、および1600番台からの改番
一度、1600番台と採番した車両を1900番台に改番した理由については、京急から公式発表はありませんが、結果として、2代目1000形の車番枯渇を解決するために改番されています。
バリエーション
京急1500形は製造時期で車体材質と制御方式のバリエーションが異なります。
製造時期 | 車体材質 | 制御方式 |
1985~1986年 | 普通鋼 | 界磁チョッパ |
1988~1991年1 | アルミニウム合金 | 界磁チョッパ |
1990~1993年 | アルミニウム合金 | VVVFインバータ |
関連リンク
京浜急行電鉄株式会社1500形 VVVF インバータ制御システム|東洋電機技報 第115号
京急の電車紹介 1500形(VVVF制御車)、1500形(界磁チョッパ制御車)|京浜急行電鉄
参考文献
『鉄道ピクトリアル No.935 2017年8月号臨時増刊 【特集】京浜急行電鉄』 株式会社電気車研究会