2015年に登場した京急1000形1800番台。600形から続いていたバルーンフェイスを捨て、中央貫通扉という衝撃的なご尊顔で製造されています。
ただ、2021年に正面が中央貫通扉タイプの1000形1890番台が登場し、1500形の置き換えのため2022年度以降も製造されることが示唆されている一方、1800番台については触れられていません。
1800番台の上位互換である1890番台が製造されている状況を考えると、やはり1800番台は失敗作だったのでしょうか?
1000形1800番台の目的
京急1000形1800番台は、1編成4両で、合計3編成12両が製造されています。外観はバルーンフェイスの1000形とは異なり、車両前面が1500形以来の中央貫通扉となっていることが特徴です。
中央貫通扉の構造を採用した理由は、仮に都営浅草線に直通している8両編成の車両が不足した場合、1800番台同士で2編成を連結して幌でつないで8両編成を組成して、直通運用に就ける様にするためです。
4両編成同士を幌でつないで、通り抜け可能な様にするために、バルーンフェイスに見られる前面上部の曲面構造は垂直になり、貫通扉部分も少し出っ張りのある様子になっています。
一応、過去に都営浅草線・京成線へと直通した実績はありますが、基本的には京急線内の運用に就いています。
ちょっとトリッキーな外観の1000形1800番台ですが、何故か失敗作と見られがちです。
本当に1800番台は失敗作?
「1800番台 失敗作」という検索キーワードで当サイトに訪れる人が時々いらっしゃいます。その結論に至った理由は不明ですが、1800番台を失敗作と決めつけるのは早計だと考えられます。
そもそも緊急時に対応するための車両
先述しましたが、1800番台は、都営浅草線への直通車両が不足した場合に1800番台の4連+4連で代走するというが大前提です。
なので、1800番台が京急線内の運用にとどまっていても、特に問題ありません。緊急時に1800番台の最終究極奥義(4両編成を幌でつなぐ)を発動すれば良いだけです。
普段から1800番台が幌をくっつけて4連+4連の直通運用に就いていたら、京急に所属しているだけではなく、四直全体で直通車両が不足していることになり、その方が問題です。
確かに、都営浅草線・京成線への直通実績がほとんどないと言っても過言では無い1800番台ですが、京急線内にとどまっているからと言って、直通出来ないわけではありません。また、1800番台が直通する必要が無いことは、四直全体において特に問題無いということです。
3編成しか製造されていないが…
1000形1800番台は1801編成・1805編成・1809編成の3編成が製造されています。
3編成しか製造されていない状況だけを見て、「失敗作でなければもっと製造しているはずだ」という声が聞こえて来そうですが、緊急時に直通可能な車両をガンガン作ったとしても、それは本末転倒です。
なので、「3編成しか製造されていないから」という理由で、失敗作と判断するのは早計と言えます。
謎の出禁論
どうやら、巷には謎の勢力による謎の出禁論があるみたいです。
その出禁論曰く、「浅草線が乗り入れを拒否している」という理論ですが、そもそも、そんなエビデンスはありません。もしあるなら、是非とも見せて頂きたいです。
そして、謎の出禁論の言い出しっぺの尻尾を掴むことは出来ませんでした(というか時間かかりそうなので探すだけ不毛)。
で、謎の出禁論者曰く、
- 全電動車なので消費電力が多い
- 消費電力が多いので浅草線から出禁くらってる
- 失敗作
という非常に滑稽な理論展開です。
確かに、面白そうな話に聞こえるので、「1800番台=失敗作」と飛躍してしまうのは仕方ないでしょう。
ですが、先述した通り、1800番台が頻繁に直通していたら、直通車両そのものが不足していることになり、四直全体の問題ですし、緊急用の車両をガンガン製造しても意味がありません。
1890番台はウィング号の運用やイベント利用という1800番台とは異なる目的があるため、1800番台よりも製造されています。1800番台が製造されなくなったからと言って、失敗作と判断するのは、やはり早計でしょう。
編集後記
デザイン的にはバルーンフェイスの方が好きだけど、1800番台も好き😽
関連リンク
京浜急行電鉄 新 1000 形 1800 番台(15 次車)|総合車両製作所
京急新1000形1800番台が都営浅草線・京成線に乗り入れ|鉄道ファン